2021 Fiscal Year Research-status Report
妊娠時悪環境による成人後高血圧発症機序の解明と治療可能性の検討
Project/Area Number |
19K08672
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
西本 光宏 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学三田病院, 准教授 (90646572)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食塩感受性高血圧 / グルココルチコイド |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠時ストレスによる成人後高血圧発症に対する治療可能性の検討を最終目的とする。DNMT3a作用低下の機序の解明、腎尿細管でのエピジェネティック変化の解明、エピジェネティック修飾薬による治療の検討を目的として研究をすすめた。申請者は先行研究において妊娠時低栄養ストレス(母体糖質コルチコイド(GC)作用の過剰)が血圧中枢特異的に成長後に残存するエピジェネティック変化(DNAメチル化酵素の発現低下とDNAメチル化の低下)をきたし、成長後の高血圧発症を惹起することを示した。これまで妊娠時ストレスモデルの解析を進めてきたが、胎児期ストレスの意義をより明らかにするため、今年度は昨年度に引き続き成人後マウスに糖質コルチコイドを投与したモデルの解析を進めた。糖質コルチコイドとして合成糖質コルチコイドであるデキサメサゾン、また生理的な糖質コルチコイドとしてコルチコステロンの投与を試みた。成人後の糖質コルチコイド投与モデルで食塩投与下におけるテレメトリ法による血圧の検討を行った。胎児期ストレスモデルでは食塩投与下で血圧の上昇を認める食塩感受性高血圧を認めたが、鉱質コルチコイド作用を持たないデキサメサゾン成人後投与モデルにおいては先行研究と異なり、糖質コルチコイドの投与量を種々に設定しても正常食塩食下、および高食塩食下いずれにおいても血圧の上昇を認めなかった。鉱質コルチコイド作用をもつコルチコステロン投与モデルについて検討した。浸透圧ポンプによる投与で先行研究にしたがって生理的濃度でのコルチコステロイドのクランプを試みたが、安定した結果が得られなかった。そこで徐放タブレットを作成し、皮下投与のモデルを作成した。投与モデルでは糖質コルチコイド受容体の下流遺伝子および腎皮質での食塩再吸収関連遺伝子の発現を増加させ、鉱質コルチコイド受容体拮抗薬で抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスによる制限があった。また研究室閉鎖にともない、研究開始時の研究室が閉鎖となり、研究室の移転にともなって一時中止する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在樹立している妊娠期デキサメサゾン投与モデルだけでなく、妊娠時に低蛋白食を投与する低栄養モデルについても同様の解析をすすめる。マウスにおいて生理的な糖質コルチコイドであるコルチコステロンを投与し、マウスでの食塩感受性高血圧発症を確認する。さらに腎尿細管特的糖質コルチコイド受容体欠損マウスを用いて糖質コルチコイド受容体の関与を特にエピジェネティクスの観点から検討する。マウス視床下部培養細胞ならびに尿細管培養細胞に対してコルチコステロン、デキサメサゾン負荷を行い、レニン・アンジオテンシン系およびナトリウム輸送制御因子の遺伝子発現ならびにそれらのエピジェネティック調節因子の発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍および研究実施場所の移転に伴い研究自体の進行が遅れたため。今後は以前の計画に則ってすすめる。
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