2021 Fiscal Year Annual Research Report
急性腎障害におけるリポファジーの役割解明と治療への応用
Project/Area Number |
19K08677
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 篤史 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10704786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
高畠 義嗣 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30403075)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リポファジー / オートファジー / 近位尿細管 / 脂質代謝異常 / 脂肪滴 / 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)腎リポファジーの分子機構の解明 研究代表者らはこれまでの研究で、48時間飢餓下のマウス腎尿細管において脂肪滴を選択的にオートファジーで分解するいわゆるリポファジーが惹起されていることを示した。一方古くから急性腎障害(AKI)後の腎臓では、脂肪滴が尿細管に蓄積することが知られている。予備実験において、AKI後の腎臓でリポファジーが生じていることを見出したことから、リポファジーの分子機構の解明とその調節を介したAKIの治療の可能性を本研究のテーマとした。現在までに48時間飢餓後の腎臓から脂肪滴分画を抽出、精製した。得られた分画をLC-3抗体で免疫沈降し、質量分析を行った。その結果からリポファジーのの過程に関わると推測される分子を数個同定した。 (2)AKI時に認められる近位尿細管の脂質代謝異常の病態生理学的意義 上記とは別にAKI後の脂肪滴蓄積のメカニズムについて知見が得られた。本研究の研究代表者が分担者として参画している2018年度 基盤研究(C)18K08208「リソソームストレスとしての腎疾患の病態解明とそれに基づく治療薬の探索」では、AKI後に生じるオートファジーの停滞の原因がリソソームの機能異常にあることを見出し、その原因を探ってきた。本研究の研究代表者高橋は、AKI後の近位尿細管において脂肪滴と拡張したリソソームが同じ細胞に近接して存在することから両者の関係に着目し、脂質代謝異常がリソソーム機能異常を惹起することを見出した。具体的にはPGC1αの強制発現やPPARαアゴニスト投与で脂質代謝を調節することで、リソソームの形態・機能異常が緩和され、AKIの病態が改善することを見出した。さらにAKIあるいは低酸素負荷後の尿細管細胞のリピドミクス解析から、脂質代謝異常の中でも、過酸化脂質の蓄積が最も重要であることを見出した。
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