2019 Fiscal Year Research-status Report
バイオマーカーによる腎障害介入の効果判定とその発現調節に関する研究
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19K08682
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森 潔 静岡県立大学, 薬学部, 特任教授 (60343232)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / バイオマーカー / リポカリン / 鉄 / 褐色脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害の血中および尿中バイオマーカーであるneutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL)の血中濃度は肥満者および肥満マウスにおいて上昇し、白色脂肪組織におけるNGAL遺伝子発現と連動している。エネルギー代謝におけるNGALの意義を明らかにするために、野生型およびNGAL欠損マウスに高脂肪食あるいは寒冷暴露を負荷すると、NGAL欠損マウスではエネルギー消費の亢進、褐色脂肪の活性化がより強く起こり、肥満の抑制、体温低下の抑制を招き、内因性のNGALは交感神経系・熱産生を負に制御していることが明らかとなった。 今回、内因性NGALが脳内体温中枢~交感神経を抑制しているのか、褐色脂肪組織自体の交感神経シグナル感受性を抑制しているのかを推測するために、野生型およびNGAL欠損マウスに寒冷刺激を行い、褐色脂肪内のカテコラミン含量を測定すると、寒冷暴露後の欠損マウスではノルアドレナリンの含有量がより強く低下しており、交感神経終末のノルアドレナリン放出がより亢進していると考えられた。一方で不死化褐色脂肪株にカテコラミンを添加するとp38 MAPキナーゼのリン酸化、uncoupling protein 1 (UCP1)の発現誘導が見られたが、この実験系にNGALを共存させても変化は見られなかった。 このことから血中NGALの作用点は褐色脂肪よりも交感神経系であることが示唆された。以上の成績を第48回日本心脈管作動物質学会のシンポジウムで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に経過し、第30回日本急性血液浄化学会学術集会および第48回日本心脈管作動物質学会のシンポジウムで招聘講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト急性腎障害症例の解析を中心として、心腎連関、脱水の超急性期、急性血液浄化療法の離脱時期、薬剤性腎障害の発症期・回復期、腎移植後に急性拒絶が疑われる時期などにおける尿中NGALの意義を検討し、臨床的有用性を明らかにする。
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Research Products
(12 results)