2020 Fiscal Year Research-status Report
バイオマーカーによる腎障害介入の効果判定とその発現調節に関する研究
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19K08682
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
森 潔 静岡県立大学, 薬学部, 特任教授 (60343232)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / バイオマーカー / リポカリン / 鉄 / 褐色脂肪 / 脱水 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿中NGALはAKIの早期バイオマーカーであるが、尿中L-FABPとは異なり、脱水・腎前性AKIでの上昇は軽度との特徴を有する。脳外科手術後に突然発症した 急性膵炎による乏尿性AKIにおいても、早期の尿中NGAL上昇は軽度で、腎実質性AKIを除外し大量輸液を行う判断に有用であった例を報告した。 また免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いたがん治療を行った場合に、副作用として急性尿細管間質性腎炎(ATIN)が起こることがあるが、このICI誘導性ATINの病態で、尿中NGALが上昇し、ステロイド治療で低下した2症例を報告した。 AKIの新規バイオマーカーを概観し、1)尿細管機能不全を反映する尿中NGAL・L-FABP・Nephrocheckと、2)尿細管障害・再生を反映する尿中KIM-1に再分類できること、AKI診断のゴールドスタンダードである、sCrとUVに基づいたKDIGO2012分類との一致率をROC解析する方法では今以上に有用なバイオマーカーは登場しないことを提唱した。 これまで共同研究者らと共に、NGALには急性腎障害モデルでの腎保護作用、慢性腎臓病モデルでの腎障害重篤化作用、潰瘍性大腸炎モデルでの大腸菌減少・腸炎改善作用、乳がんの転移抑制作用、交感神経系抑制・肥満増強作用などがあることを包括的にレポートした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に経過し、研究成果を発表し、第44回日本鉄バイオサイエンス学会学術集会のシンポジウムで招聘講演を行い、影響力の大きい英文テキストAcute Kidney Injury and Regenerative Medicineのなかで、上記2つの新しい仮説を提言した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もヒト急性腎障害症例の解析を中心として、心腎連関、脱水の超急性期、急性血液浄化療法の離脱時期、薬剤性腎障害の発症期・回復期、腎移植後に急性拒 絶が疑われる時期などにおける尿中NGALの意義を検討し、臨床的有用性を明らかにする
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Research Products
(14 results)