2019 Fiscal Year Research-status Report
原発性副甲状腺機能亢進症における血清FGF23上昇メカニズムの解析
Project/Area Number |
19K08683
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
今西 康雄 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50326253)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原発性副甲状腺機能亢進症 / FGF23 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は、副甲状腺ホルモン(PTH)過剰によるリン利尿亢進のため、低リン血症を呈する。一方、リン利尿ホルモンである線維芽細胞増殖因子(FGF)23も上昇しており、さらなるリン利尿に寄与していると考えられる。FGF23は骨組織より分泌されるホルモンであり、PTHが直接骨組織におけるFGF23分泌を亢進することが想定されているものの、その詳細な機序は明らかではない。本研究では、骨組織におけるPTH依存性FGF23分泌機構を、in vivo、in vitroの系を用いて明らかにする。 FGF23ノックアウトマウスや、FGF23の受容体であるKlothoのノックアウトマウスでは、著しい高リン血症を呈し早老症や異所性石灰化を発症する。そのため、石灰化抑制機構におけるFGF23の重要性がクローズアップされている。私共は、PHPT患者における血清FGF23濃度は健常人と比較し高値で、副甲状腺摘出術によりその濃度が低下することを示した(Eur J Endocrinol. 2006;154:93-99)。さらにPHPTモデルマウス(J Clin Invest. 2001;107:1093-1102)を用いた検討においても、副甲状腺摘出術により血清FGF23濃度が低下すること、そして骨組織がFGF23の主たる産生臓器であることを示している(J Am Soc Nephrol. 2007;18:2683-2688)。以上の結果より、骨組織におけるPTH依存性FGF23分泌機構の存在が示唆される。本研究において、同機構の存在とその細胞内情報伝達系について明らかにしたい。 本研究の目的は、in vivo、in vitroの系を用いた、骨組織におけるPTH依存性FGF23分泌機構の解明である。In vivo系として、PHPTモデルマウス(PC2マウス)を使用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PC2マウス骨組織においてFGF23発現が上昇している一方、DMP1発現が低下していることを発見した。また、ウエスタンブロット法でも同様にDMP1発現が低下していることを確認した。これらin vivoの検討により、PHPTにおける骨組織でのFGF23発現亢進と、DMP1発現低下とが密接に関連していると考えられた。一方、正常ラット骨組織において、DMP1優位とFGF23優位の2種類の骨細胞の存在が報告されており、生理的条件下でも、骨組織局所においてDMP1がFGF23の産生を抑制すると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍性骨軟化症(TIO)腫瘍において高発現している、MEPE, PHEX, Osterix, RUNX2, BMP-2, Osteocalcin, ENPP-1, FGF2, FGF7, LRP5, sFRP4等の骨・骨芽細胞関連因子のうち、PC2マウス骨組織での発現がWTマウスと異なる因子を発見する。
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Causes of Carryover |
今年は研究初年度ということもあり、マウスコロニーの拡大を行った。マウスのジェノタイピング等の費用については、奨学寄付金を中心とした資金より支出を受けたため、本年度の使用を削減することができた。それにより、次年度以降のマウス組織解析や、薬物投与実験に対する資金の確保が可能となった。
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