2021 Fiscal Year Annual Research Report
腎虚血再灌流障害後に食塩感受性高血圧が発症する機序の解明
Project/Area Number |
19K08704
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土井 盛博 広島大学, 病院(医), 助教 (80626127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 崇生 広島大学, 病院(医), 教授 (30397913)
中島 歩 広島大学, 医系科学研究科(医), 共同研究講座教授 (40448262)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 虚血再灌流障害 / ミネラルコルチコイドレセプター / 食塩感受性高血圧 / 上皮ナトリウムチャンネル / 食塩 / アルドステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットに腎虚血再灌流を行い(IRIラット)、7日後にミネラルコルチコイドレセプター(MR)やその下流因子である、SGK1、上皮ナトリウムチャンネル(ENaC)、ナトリウムークロライド共輸送体(NCC)の発現を調べたところ、MR、SGK1、ENaCの上昇を認めたが、NCCの変化には差を認めなかった。MRの発現亢進に、ヒストン修飾が関与しているかを調査するため、ヒストンメチル化酵素のPCRアレイを行ったが、ヒストン修飾とMR発現の関連は明らかにすることはできなかった。MRの発現保持に、上皮増殖因子(EGF)が関与しているかを調べるため、EGF受容体ブロッカーの投与を行ったが、MRの発現に差を認めなかった。次に、IRIラットに、食塩負荷を行ったところ(IRI/NaClラット)、血圧上昇や腎障害の進行を認めた。さらに、IRIラットに、アルドステロン負荷を行ったところ(IRI/Aldoラット)、食塩負荷を行っていないにも関わらず、血圧上昇、腎障害の進展を認めた。その後、IRI/NaClラット、IRI/Aldoラットにおいて、MRブロッカー(MRB)を投与したところ、血圧上昇や腎障害の抑制を認めた。最後に、IRI/NaClラットとIRI/Aldoラットに、ENaC阻害薬であるアミロライドを投与したところ、血圧上昇と腎障害の進展が抑制された。上記の結果から、IRIラットにおいてMRが上昇する機序を明らかにすることはできなかったが、IRIラットにおいて、食塩負荷、あるいは、レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系の活性があった場合には、血圧上昇や腎障害が誘導されることが明らかとなった。さらにその機序として、MR発現上昇に伴う、ENaCの発現亢進が関与しており、「なぜ急性腎障害後に、高血圧や慢性腎臓病が発症しやすいか?」というクリニカルクエッションに対する答えが明らかになった。
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