2022 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎疾患の進展に伴う時計遺伝子DEC1発現低下の意義と臨床応用に向けた基礎研究
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19K08710
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 冬樹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (60400131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40190904)
藤本 勝巳 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40294566)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50433339)
及川 恒輔 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70348803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / DEC1 / DEC2 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎不全(CKD)における時計遺伝子DEC1の発現意義について解析した。CKDにおける時計遺伝子発現の意義は明らかでなく、その報告もない。本研究では時計遺伝子の中でも特にDEC1に焦点をあて、分子生物学的手法および免疫組織化学的手法にて解析した。ヒト剖検症例で、免疫染色でコントロール腎と比較して、CKD症例の腎で、DEC1発現は減少した。特に尿細管での発現の減少がみられた。一方でASMA発現は上昇した。また、マウスの実験では、免疫染色、リアルタイムPCRやウエスタン・ブロットで若年マウスと比較し、高齢マウス腎ではDEC1発現の減少がみられた。同様にklo変異マウス腎でもDEC1発現は減少した。一方でASMA発現は上昇した。日内リズムの行動解析では、klo変異マウスは大きな日内リズムの乱れがみられた。コントロールマウスとklo変異マウス腎の日内リズムをウエスタン・ブロットで解析すると、klo変異マウスではDEC1の日内リズムは消失し、発現が減少した。一方でASMA発現は上昇した。コントロールマウス腎でみられたkloタンパク質の日内リズムが、klo変異マウスで消失した。腎尿細管培養細胞では高リン処理でアポトーシスが誘導される高リン処理で、DEC1発現は著明に減少した。一方でASMA発現は上昇した。これらのことから、高齢マウスやCKDの腎ではDEC1発現減少とASMA上昇が、CKD進展と日内リズム異常に影響していることが示唆された。高リン処理やCKDが日内リズムや時計遺伝子DEC1に影響を及ぼすことの新たな知見であり、今後、CKD進展患者でDEC1を指標とした新たな治療展開をもたらす可能性がある。現在、論文作成中である。
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