2021 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の病態形成における腸管ミネラルコルチコイド受容体機能の関与の検討
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19K08713
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
栗原 勲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (90338038)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミネラルコルチコイド受容体 / 糖代謝 / 腸管 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者のグループではこれまで、世界で初めて腸管上皮特異的ミネラルコルチコイド受容体(以下MRと略す)欠損マウスを作出し、腸管MRが腸管におけるNa吸収を介して生体の血圧調節に重要な役割を果たしていることを報告した(Nakamura et al. J Am Heart Assoc, 2018)。本研究では、本モデルマウスを用いて、腸管MRの新たな機能として、糖代謝調節および糖尿病性腎症を含めた生活習慣病に起因する臓器合併症に対する影響を検討することを目的とした。高脂肪食負荷における体重増加の推移や糖負荷試験における血糖の推移などにおいて、部分的に腸管MRが糖代謝調節機能に関与していることを示唆する所見はみられたが、いずれの負荷においても、様々な代償機構が働くためか、有意な表現型は得られなかった。腸管組織を用いたマイクロアレイ解析では、SLCファミリーを含めた多くのトランスポーターがMRの下流で制御を受けていることが示唆され、上述の論文で報告したNaトランスポーター(ENaC)以外にも、糖代謝関連の様々なMR標的因子があると考えられたが、特定の疾患の病態形成への関与を示すことはできなかった。一般に、機能喪失型のモデルは、生体にとってむしろ有益な機能を解析することに優れており、疾患への関与を検討するためには、機能獲得型のモデルを用いた解析も行うべきと考えた。同グループでは近年、MRの新規corepressorとしてCasz1という因子を同定した(Yokota et al. Hypertens Res, 2021)。そこでVillin-CreマウスとCasz1-floxマウスを交配し、腸管上皮特異的Casz1欠損マウスの作出を行った。予想どおり、本モデルにおいて腸管におけるMR作用の亢進を示す結果が得られており、現在、このモデルを用いて腸管MRの生活習慣病への関与を検討している。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 副腎動脈造影と分枝選択的副腎静脈サンプリングにより診断に至ったアルドステロン産生腺腫の1例2021
Author(s)
西川 賢, 宮下 和季, 小林 佐紀子, 木内 謙一郎, 武田 利和, 田村 全, 中塚 誠之, 水谷 洋佑, 大友 佑介, 青山 和樹, 横田 健一, 栗原 勲, 伊藤 裕
Organizer
第22回日本内分泌学会関東甲信越支部学術集会
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[Presentation] アルドステロン産生腺腫に対するreduced port surgeryによる副腎温存手術2021
Author(s)
武田 利和, 安水 洋太, 田中 伸之, 松本 一宏, 森田 伸也, 小坂 威雄, 水野 隆一, 田村 全, 栗原 勲, 中塚 誠之, 浅沼 宏, 伊藤 裕, 大家 基嗣
Organizer
第109回日本泌尿器学会総会
Invited