2020 Fiscal Year Research-status Report
糸球体内皮機能障害による糖尿病性腎臓病発症・進展機構の解明
Project/Area Number |
19K08714
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
川浪 大治 福岡大学, 医学部, 教授 (50568889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 圭一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20459647)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 糖尿病性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量GタンパクRhoのエフェクターであるRho-kinase(ROCK)にはROCK1とROCK2の2つのアイソフォームが存在する。このうち、ROCK2のfloxマウスを我々は樹立し、VE-Cadherin Creマウスと交配させることで血管内皮特異的ROCK2欠損マウスを作製した。この血管内皮特異的ROCK2欠損マウスに対して高脂肪食負荷を行い、種々の生理学的指標の評価を行った。。これらのマウスではコントロールマウスに比べて尿中アルブミン排泄が低下しており、糖尿病性腎臓病が抑えられていることが確認できた。このメカニズムとして、酸化ストレスや炎症の低減が主作用であると考えていたが、糖代謝の改善も関わっていることが明らかになった。血管内皮ROCK2欠損マウスではコントロールマウスに比べて脂肪サイズが小さく、高脂肪食負荷を行っても体重増加を来たしにくいことが明らかになった。また、高脂肪食負荷を行った血管内皮特異的ROCK2欠損マウスでは、インスリン負荷試験を行うと、コントロールマウスに比べて血糖値の低下が有意差を持って大きく、インスリン感受性が増大していることが示唆された。血管内皮ROCK2欠損マウスにおけるアルブミン尿抑制効果はROCK2欠損に伴う糖代謝の改善も関与している可能性がある。我々はこれまでにROCK2を欠損させると血管内皮機能の改善が得られることを報告してきた。このようにROCK2欠損による直接的な腎保護作用と、インスリン抵抗性の改善や体重増加抑制といった糖代謝の改善を介した間接的な腎保護作用が協働していることが考えられた。特にインスリン抵抗性の改善は、糸球体硬化の抑制に極めて重要な意義を持っていると考えられ、そのメカニズムについてさらに研究を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスの作製が終了し、糖尿病モデルの作製と解析が進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
血管内皮特異的ROCK2マウスの表現型は腎臓だけではなく、脂肪に強く出る可能性を見出した。今後は、血管内皮特異的ROCK2欠損マウスの皮下脂肪面積や内臓脂肪面積を検討すると共に、脂肪細胞におけるエネルギー代謝を検討する方針である。
|
Causes of Carryover |
in vitroでのメカニズム解析を主に次年度に回す方針としたため、高額試薬の購入が抑えられ若干の未使用額が生じた。しかし、研究計画全体は順調に進行しており、次年度で未使用額も含めて適切に執行する予定である。
|
Research Products
(6 results)