2021 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における糸球体内細胞間クロストークに作用する化合物の探索
Project/Area Number |
19K08729
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水本 輝彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80749193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / エクソソーム阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、東京大学創薬機構より提供を受けた既存薬ライブラリの中からスクリーニングにより得られた30の化合物の中には4つのHSP(Heat shock protein)-90が含まれており、その中でエクソソーム取り込み阻害効果が最も強かった化合物に注目して、糖尿病性腎症モデルラットであるストレプトゾシン(STZ)ラットにそのHSP-90阻害薬を投与して腎症進展の抑制効果について検討した。 16時間の絶食の後、STZ 50mg/kgの尾静脈から単回投与によりSTZ誘発糖尿病ラットを作成した。STZ投与3週後に血糖値 500mg/dl以上の上昇を確認した後、 週2回、計6週間のHSP90阻害剤の投与を行い、腎症に対する効果を検討した。その結果、STZラットで認められる腎症進展の指標であるアルブミン尿の有意な抑制を認め、更に腎組織におけるメサンギウム領域の拡大を抑制する傾向を認めた。以上の結果より、HSP90阻害薬は糖尿病腎症の進行を抑制できる可能性が示唆された。 前年度の研究でHSP90阻害薬のエクソソームの取り込み阻害に関する検討は十分な犬種tでできなかったため、様々な細胞に発現しているHSP90の腎組織における発現を検討した。当科で行っているscRNA-seqデータベースで確認したところ、メサンギウム細胞を含む腎糸球体構成細胞において強い発現を確認できた。糖尿病におけるこのことからHSP90阻害薬は腎糸球体にも直接作用していることが期待できる。
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