2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of the novel gene modulator PI polyamide targeting protein S as a therapeutic agent for diabetes mellitus and diabetic nephropathy
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19K08737
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
常見 明子 日本大学, 医学部, 研究員 (90646035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 高浩 日本大学, 医学部, 兼任講師 (40386008)
阿部 雅紀 日本大学, 医学部, 教授 (70459890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PIポリアミド / プロテインS |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテインSは、糖尿病の病態改善効果を持ち、糖尿病患者で低下していることが報告されている。本研究ではプロテインSの転写活性を選択的に増加させ、そのタンパクを増加させるPIポリアミドについて検討した。 昨年度にプロテインSを増加させる効果があった1種類のPIポリアミドについて、マウス血管内皮細胞(UV♀2)をグルコース刺激した際の、プロテインSの発現について検討をした。培地中のグルコース濃度を5.6mM(コントロール)から25mMに上げてUV♀2細胞を48時間培養すると、プロテインSのmRNA発現は低下が認められたが、PIポリアミドの存在下でのグルコ-ス刺激は、プロテインS mRNAの発現の低下を抑制した。 次に糖尿病マウスにこのPIポリアミドを投与した。C57BL/6Jマウスに、 生理食塩水に溶解したストレプトゾトシン(STZ) 40mg/kgを5日間連続で腹腔内投与して糖尿病マウスを作成した。正常群には生理食塩水を投与した。プロテインSを増加させる PIポリアミドは0.01%酢酸溶液で溶解し、週に2回、2mg/kgで糖尿病マウスに腹腔内投与を行った(PIポリアミド投与群)。また 正常群と糖尿病群のマウスにはPIポリアミドの溶媒となる0.01%の酢酸を同様に投与し4週間飼育した。飼育途中で、グルコース負荷試験とインスリン負荷試験を行った。正常群マウスに対して、糖尿病マウスは血糖値の上昇が認められたが、PIポリアミド投与群は、糖尿病群と比較して、血糖値の低下傾向が認められた。インスリン負荷試験において、PIポリアミド群は、糖尿病群より血糖値の低下が認められた。安楽死時における血清プロテインS値は、糖尿病群では287.95±39.08ng/ml、PIポリアミド群では327.42±16.22ng/mlであり、PIポリアミド群でプロテインSは増加していた。その他は現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病患者において、血清プロテインS値は健常者と比較して低下しており、プロテインSを産生する肝臓や内皮細胞で、プロテインSの発現を増加させ、糖尿病や糖尿病性腎症を改善させる遺伝子発現制御薬PIポリアミドの開発を目指している。 今年度においては、培養細胞において、高グルコース刺激した際のプロテインSの発現について検討し、グルコース刺激に対してプロテインSのmRNAの発現が低下するのを、PIポリアミドがmRNAの低下を抑制した。今年度は、実験試薬等の手配で時間がかかることが多く、予定していた動物実験に移行するのが遅れてしまったために、現在は、動物実験終了後に得られた組織等において、解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、糖尿病マウスに対するPIポリアミドの効果について、得られた組織等で解析を行なっている。今後は、糖尿病性腎症の進展に対して、このプロテインSを増加させるPIポリアミドの効果を検討する。具体的には、糖尿病マウスにPIポリアミド5mg/kgをマウスに腹腔内投与し、週に1回、体重、食餌量、血糖値、尿量、尿中の微量アルブミン、総タンパク質、Cre、 BUNを測定する。飼育終了後は、血液、肝臓、膵臓、腎臓を採取し、血糖値、血漿中インスリン、T- chol、 HDL-chol、TG、プロテインS、プロテインC、TM、Cre、BUNを測定する。腎臓組織標本を作製し、HE染色、マッソントリクローム染色、PAS染色を行い、糸球体の変化(メサンギウム基質の増生)、間質の拡大や線維化等を検討し、TUNEL染色では細 胞のアポトーシスについて評価する。ポドサイトが産生するポドシンやネフリン、腎線維化に関するTGFβ、αSMAやcollagen IVなどについても免疫染色を行う。 腎臓組織からtotal RNAを抽出し、上記らのタンパク質の遺伝子発現について検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度は、必要な実験試薬が輸入等で大幅に時間がかかり、スムーズに入手できないことが多かったために、当初予定した研究費を使用できなかった。 (使用計画) 繰越した研究費は、現在解析中の検体に対して必要な試薬を購入する。次年度は、糖尿病マウスの購入や飼育にかかる経費や消耗品、採取した血液や 摘出した臓器等における遺伝子発現やタンパク質の発現の解析に必要な試薬類(プライマー、マスターミックス、抗体、ELISA キット、パラフィンブロック作成等)を購入する。
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