2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of the novel gene modulator PI polyamide targeting protein S as a therapeutic agent for diabetes mellitus and diabetic nephropathy
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19K08737
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
常見 明子 日本大学, 医学部, 研究員 (90646035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 高浩 日本大学, 医学部, 兼任講師 (40386008)
阿部 雅紀 日本大学, 医学部, 教授 (70459890)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PIポリアミド / プロテインS |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症の発症および進展を直接抑制する治療は未だ確立されていない。活性型プロテインC(APC)の補酵素であり、TAM受容体ファミリーで、抗炎症性効果をもつMer受容体のリガンドでもあるプロテインSは、糖尿病の病態および糖尿病性腎症の改善効果を認めるが、糖尿病患者では低下している。本研究ではプロテインSの転写活性を選択的に増加させ、蛋白を増加させるPIポリアミドについて検討した。今年度は、8週齢C57BL/6Bオスマウスを、1)コントロール群(UNx + 0.01%酢酸投与)、2)0.01%酢酸投与群(UNx + STZ+ 0.01%酢酸投与)、3)PI ポリアミド投与群 (UNx + STZ+ protein S PIポリアミド投与)として、まず、イソフルラン麻酔(導入4-5%、維持2-3% )で正中切開後、右腎動脈・静脈と尿管を結紮離断を行い、腎臓を摘出した。2週間のリカバリー後のマウスに、ストレプトゾトシン(STZ)を40mg/kgを5日間連続投与をして糖尿病マウスを作成した。糖尿病発症確認後からPIポリアミド(2mg/kg)あるいは0.01%酢酸を週に2回、マウス腹腔内に投与し、12週間飼育した。その後、全ての実験群イソフルラン麻酔下にて腹部を正中切開し、心臓より25G針のついたシリンジにて全採血による安楽死処置をして、血液および臓器を採取した。実験期間中、PIポリアミド投与群は、0.01%酢酸投与群より、体重の減少が有意に抑えられた。また血清中のプロテインS値はPIポリアミド群で、0.01%酢酸投与群よりも高かった。その他、組織における線維化に関するタンパク質等の解析、染色等は現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病患者において、血清プロテインS値は健常者と比較して低下しており、プロテインSの発現を増加させ、糖尿病性腎症を改善させる遺伝子制御薬の開発を目指している。これまでに培養細胞において、PMAおよび、高グルコース刺激に対して、プロテインSの発現が低下するのを、PIポリアミドが抑制した結果を得た。昨年度においては糖尿病モデルマウスを使用して、PIポリアミドの効果について検討を行った。今年度においては、糖尿病マウスを作成し、継続的にPIポリアミドの投与を行うことにより糖尿病性腎症モデルマウスに対する効果について検討した。今年度においては、実験試薬等の手配で時間が非常に長くかかり、予定していた動物実験に移行するのが遅れてしまった。現在は、実験終了後に得られた組織等について、解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病性腎症モデルマウスに対するPIポリアミドの効果について、得られた組織で腎臓組織標本を作成し、HE染色、マッソントリクローム染色等を行い、糸球体の変化(メサンギウム基質の増生)、間質の拡大や線維化等を検討する。また腎臓の線維化に関するTGFβ1、αSMA、collagen Ⅳなどについても免疫染色を行う。また腎臓組織からtotal RNAを抽出し、上記らのタンパク質の遺伝子発現について、real-time PCRを行い、タンパクの発現量についてもwestern blotを検討する。さらに、これまでに行った培養細胞や動物実験などについての結果を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度も昨年度と同様、必要な実験試薬が輸入等で大幅に時間がかかり、スムーズに入手できないことが多かったために、実験のスタートが遅れ、それに伴って、当初予定した研究費を使用できなかった。 (使用計画) 繰越をした研究費は、現在解析中の検体に対して必要な試薬を購入する。組織ブロックの作成後の各種の染色試薬等を購入予定である。
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