2019 Fiscal Year Research-status Report
Transcriptome analysis of kidney biopsied tissues of diabetic kidney disease
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19K08741
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Research Institution | National Hospital Organization Chiba-East-Hospital |
Principal Investigator |
今澤 俊之 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究部), 腎センター, 腎センター長 (80348276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / トランスクリプトーム解析 / 結節病変 / バイオインフォマティクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糖尿病性腎臓病(DKD)において特徴的かつ予後不良所見とされてきた結節性病変(NL)を有する症例の腎生検残余検体を用い網羅的な遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)を行うことで、NLの進行・抑制因子の同定を試み、将来的にはDKDへの有効な治療法開発や、バイオマーカー開発へ発展させる目的で申請させていただいた。そのため、DKD症例において腎生検を行い結節病変を有し、かつ経過が3年以上追えた症例を抽出し、さらにそれらの症例を予後不良例(eGFR低下速度が年間7ml/min以上)と予後良好例(eGFR低下速度が年間3ml/min未満)の2群(各例5例以上)に分け、各々の腎組織における遺伝子発現の差異につき検討をすることとした。当院症例の中で抽出したところ、10年前からの検体を使用することにより目的症例数を達成できることが分かった。そこで10年前の腎生検検体を用いRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を行うのに十分なcDNAを得る方法を模索した。これまでに我々が腎生検残余検体を用いてRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を行うために確立した方法を踏襲しようとしたが、これまでは採取して間もない腎生検組織(1年以内)に対し、今回は過去検体を用いたため、想像以上に採取されるRNA量が少ないことが分かった。その後、これまでにRNA抽出方法、cDNA作成時のPCRサイクル数を変更するなど、現時点でトランスクリプトームを行うのに十分なcDNAを過去腎生検組織から獲得する方法論を確立した。今後は、予定通りトランスクリプトーム解析を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院におけるDKD症例の中で、過去において腎生検を行い、組織学的に結節病変を有し、かつ経過が3年以上追えた症例を抽出の中で、予後不良群(eGFR低下速度が年間7ml/min以上)と予後良好群(eGFR低下速度が年間3ml/min未満)を各群5例以上収集できるよう検討した結果、10年前までさかのぼれば、各群8例以上ずつ得られることがわかった。そこで、10年前の腎生検ホルマリン固定パラフィン包埋ブロック(FFPE)を用い、RNAを抽出し、トランスクリプトーム解析をするのに十分なcDNAを得られるかの検討に入った。これまでに我々が確立した腎生検残余検体を用いた方法を踏襲し始めたところ、過去検体ではトランスクリプトーム解析に十分なcDNA量が得られないことが判明した。原因としては、これまで我々が用いたきた腎生検検体が1年以内に採取されたものであったのに対し、過去検体(3年以上経過を追えている)をここでは用いており、組織内でRNAの破壊が進み、採取できるRNA量が少ないことが考えられた。そこで、RNA抽出方法とPCRのサイクル数を増やすなど方法論を再検討した。その結果、10年前、5年前の腎生検検体を用い、トランスクリプトームを行うのに十分なcDNA量(2μg以上)を得られるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、予定通り、これまで本研究の的確症例として抽出された16症例の腎生検残余組織からcDNAライブラリーを作成し、トランスクリプトーム解析を実施していく予定である。 Agilent社SurePrint G3 Human GE マイクロアレイ 8x60K(Ver. 3.0)にて遺伝子発現解析を行う。 得られたトランスクリプトーム解析データは、パスウェイ解析(IPA(Ingenuity Pathways Analysis)を行い、発現変動遺伝子の機能や代謝経路を明らかにしていく。更に、候補因子については、発 現部位や蛋白発現動態を検討するために、同一症例の組織を使い、各候補因子に対する抗体を用い組織染色を行い、組織内での局在ならびに発現変化を検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗の都合により使用内訳に変動があったため。 令和2年度での使用計画は研究者と事務担当者で打ち合わせを行い、効率的な使用を目指す。
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