2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of itch in atopic dermatitis and prurigo: role of IL-31 from macrophages
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19K08743
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
端本 宇志 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 皮膚科, 講師 (00647844)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痒み / アトピー性皮膚炎 / マクロファージ / IL-31 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、主にヒトの痒疹について分析を行なった。痒疹の病変部ではIL-31陽性細胞数が増加しており、痒みの程度と相関していた。IL-31は、IL-31RAとOSMRからなるIL-31受容体を介して機能を発揮する。真皮におけるIL-31RA陽性細胞数、OSMR陽性細胞数も痒みの程度と相関傾向にあった。OSMRはIL-6サイトカインファミリーであるOSMの受容体の構成要素でもあるが、OSM陽性細胞数も痒みの程度と相関していた。興味深いことに、IL-31陽性細胞はT細胞と同程度にCD68陽性マクロファージが占めていた。このことから、ヒトの痒疹においても、IL-31産生マクロファージの痒みに対する役割は大きいものと考えられた。また、IL-31RA、OSMRをともに発現する細胞は主としてマクロファージであり、IL-31はマクロファージにオートクライン的に作用し、痒疹の病態を形成している可能性も導き出せた。このことから、IL-31産生マクロファージは痒疹の痒み治療のターゲットになりうる、と考えられた。 また、アトピー性皮膚炎でも病態解析をおこなった。既存の報告では、マウスのマクロファージはTSLPやペリオスチンの刺激を受けてIL-31を産生するという。マウスのアトピー性皮膚炎モデルにおいても、TSLPやペリオスチンを阻害すると、掻破行動が減弱することが判明した。まだIL-31産生マクロファージがどの程度この掻破行動の減弱に関与しているかは確認されていないが、関連を示唆するデータであった。 これら内容は、日本アレルギー学会や日本研究皮膚科学会で報告したとともに、痒疹のデータについては、Experimental Dermatology、Acta Dermato-Venereologicaに論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度はヒトの痒疹について解析を終了し、それを論文に報告できた。当初の予定では令和3年度までに実験を終了する予定であったため、極めて順調に進展している。 また、ヒトアトピー性皮膚炎およびマウスアトピー性皮膚炎モデルの解析も順調に進んでおり、令和3年度には実験を終了させ、論文を投稿できる見込みである。 以上のことから、当初の予定通りに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
痒疹の解析についてはほぼ終了したため、令和3年度はおもにアトピー性皮膚炎の解析に精力をそそぐ。ヒトのアトピー性皮膚炎においては、IL-31産生マクロファージの制御機構を病理組織学的に解析する。その結果がマウスのアトピー性皮膚炎モデルでも立証できるかどうか、MC903誘導性アトピー性皮膚炎モデルマウスをもちいて、IL-31産生マクロファージの産生機構を、IL-31産生促進因子を除去することにより確認する。これらにより得られた成果は、学会で発表するとともに、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により学会が現地で開催されず、旅費が不要となったため。
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