2020 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎における表皮角化細胞のガレクチン7産生機構とその意義
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19K08747
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
島内 隆寿 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90399204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ガレクチン7 / IL-4 / IL-13 / 表皮角化細胞 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、まずこれまでに得られたアトピー性皮膚炎 (atopic dermatitis: AD)の患者検体を用いた実験データ、ならびにin vitroの実験データをまとめた論文をパブリッシュさせた。次に、ADモデルマウスにおける表皮角化細胞のガレクチン-7 (galectin-7:Gal-7) 発現動態を検証した。以下の2系のADモデルマウスを準備した。1)NC/Ngaマウスの背部および耳介部に、ダニ虫体成分を含む軟膏(ビオスタAD)を週2回、計3週間塗布する系。2)B6マウスの耳介部にMC903 (カルシポトリール、VitD3類似体)を連日塗布する系。その結果、両系のADモデルマウスにおいて、炎症が惹起された病変部皮膚におけるGal-7の表皮細胞間での沈着を認めた。これまで我々が示してきた、AD患者並びにIL-4/IL-13添加3D培養における表皮細胞間のGal-7の沈着と一致しており、in vivoにおいても再現性が得られた結果となった。現在、上記の確立したADモデルマウスにおける血清Gal-7の測定や病変部皮膚における各種サイトカインプロファイルの解析を進めている。また、B6マウスMC903塗布の系において、CRISPER-Cas9法によるGal-7 KO mouseの作成を試みている。これにより、ADにおけるGal-7の表皮細胞間への放出の生理的、免疫学的意義の解明へとつなげたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AD患者検体ならびにin vitroの実験データが論文化されたこと。また、ADモデルマウスにおける表皮角化細胞間へのGal-7の沈着が同定されたことで、本研究課題における当初予想した結果がほぼ得られた形となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
Gal-7におけるstabilizer効果が in vitroの系では認められなかったため、その生理的意義については、いまだ不明である。今後、B6マウスMC903塗布の系において、Gal-7 KO mouseとWTとを比較することで、ADにおけるGal-7の表皮細胞間への放出の生理的、免疫学的意義を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
これまでに得られたアトピー性皮膚炎の患者検体を用いた実験データならびにin vitroの実験データをまとめて論文作成に時間を費やしたため、計画していたアトピー性皮膚炎のマウスモデルの実験への移行が遅れた。また大学院生の卒業と異動による人的労力不足によって予定していたマウス実験が遅れた。そのため、R2年度の繰り越し金を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)