2020 Fiscal Year Research-status Report
紫外線による多段階皮膚発癌における網羅的遺伝子解析
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19K08749
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
国定 充 神戸大学, 医学部附属病院, 病院准教授 (80566969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 紫外線皮膚発がん / 多段階発がん / Xpa-ノックアウトマウス / 炎症 / 次世代シーケンサー / 全エクソーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長期紫外線暴露による皮膚発癌形成についての、炎症反応と関連するメカニズムの解明を主とするものである。その中でも紫外線による多段階発癌の仕組みを明らかにして、如何なる癌遺伝子・癌抑制遺伝子がどういった時系列で炎症反応と発癌が関与するか、易紫外線発癌モデル実験動物を用いながら次世代シークエンサーにて解析・検証する。現在までの研究実績については(2020年度)1.野生型マウスおよびXpaノックアウトマウスにおける紫外線照射した皮膚からのDNAサンプルを解析した。1-1.先行する実験として、Xpaノックアウトマウスに中波長紫外線UVBを照射し、皮膚腫瘍を生じさせた。皮膚腫瘍は発生から付加されてくる体細胞パッセンジャー変異を多数拾うことによりドライバー変異が検出出来ない可能性を考え、長期間経過したものではなく、腫瘍発生から間もない腫瘍を採取、DNAを抽出して(研究代表者)エクソームシークエンスにて全遺伝子のエクソンの変異を検出(WES)、解析した(研究協力者)。一方腫瘍発生初期のサンプルのため後期に起こるドライバー遺伝子変異を検出し損ねる可能性も考え、10腫瘍サンプル程度採取しWESにて解析した(研究代表者)。1-2.慢性紫外線照射実験を再度両ジェノタイプのマウスに繰り返した。今回は両タイプとも10匹程度用意して、紫外線照射前の皮膚より、および照射途中で皮膚腫瘍が認められていない時期の皮膚より、良性および小さい腫瘍が出てきた早期の時点での腫瘍より、腫瘍増大時期の後期の時点での腫瘍より組織を採取し、DNAおよびRNAを抽出した(研究代表者)。得られたDNAおよびRNAによって1-1.で選定された候補遺伝子を対象に次世代シークエンサーにて時系列の選定しておいた候補遺伝子の全体の発現の推移を網羅的に解析した(研究協力者)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画書通り進んでいる。Covid-19の影響も多少はあったが、動物実験およびその後の遺伝子解析なども進捗しており、次年度に予定されていた計画に移行しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
紫外線による皮膚の炎症反応が如何に1.の結果で得られた遺伝子発現が変化するか を検証し、炎症の発癌に対して関与する具体的時期などのメカニズムを解明する。再度慢性紫外線UVB照射実験をXpaノックアウトマウスにおいて行う。この度は前出の研究成果である血中の炎症因子のケモカインであるCxcl1に対する中和抗体(CXCL1-Ab)を投与しながらUVBを照射すると皮膚腫瘍が有意に減少する(Kunisada et al. J Invest Dermatol 2017)。この系を用いて1-2で施行した時系列と同じタイムポイントにて皮膚、および発生した腫瘍からDNAおよびRNAを抽出し(研究代表者)、再度次世代シークエンサーを施行し、1-2での結果と比較する(研究協力者)。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響で予定していた実験が出来なくなりそれに伴った試薬購入などが減ったことが理由である。次年度は予定された実験においてこれら施行できなかった実験および試薬購入に充てる予定である。
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