2020 Fiscal Year Research-status Report
薬剤性過敏症症候群をモデルとする自己免疫性疾患発症のリスクファクターの解明
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19K08755
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
水川 良子 杏林大学, 医学部, 教授 (50301479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 裕美 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90291393)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬剤性過敏症症候群 / 自己免疫疾患 / ウィルス再活性化 / 免疫再構築症候群 / risk factor / バイオマーカー / regulatory T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2002年から2016年までに杏林大学皮膚科を受診した薬剤性過敏症症候群 (DiHS/DRESS) 66症例のうち、1年以上の経過を観察しえた55症例を対象とし、自己免疫疾患発症のrisk factorを検討した。 症例は自己抗体陰性群 (autoimmune-free: AF), 自己抗体陽性群 (autoimmune-positive: AP), 自己抗体初回陽性群 (initially autoimmune-positive: IAP)の3群とし、急性期(10日以内), 亜急性期 (11から36日以内), 回復期 (37日以降)で比較した。昨年度の検討に加えハザード解析やログランク検定を行い、自己免疫疾患発症のrisk factorを解析した。その結果、1、DiHS/DRESS発症から少なくとも3年間の経過観察が必要である。2、AP群では急性期ALT 80IU/L以上、Glb 2.5mg/dL以下はハザード検定も含めAP群に有意であった。3、急性期から亜急性期のALT100IU/LおよびGlb0.7mg/dL以上の増加は自己免疫疾患発症のriskであった。4、IVIg投与は自己免疫疾患発症のrisk factorである。5、自己免疫疾患発症を予測する血清バイオマーカー としてIL-2 0.3pg/ml以下、IL-4 2.8pg/ml以下の両条件を満たすことが条件として確認された。6、3ヶ月以上のEpstein-Barr Virus (EBV) 再活性化は自己免疫疾患発症のriskである、などの各条件が明らかになった。以上の検討により明らかになったrisk factorを元にした自己免疫疾患発症を予測するスコアの作成を開始し、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である本年度は、前年度の検討結果を踏まえさらにその精度上げるべく、統計解析を追加するとともに、前年度は未施工であった患者血清を用いた血清バイオマーカー検出を試みた。 そこで、患者血清を用いたサイトカイン、ケモカインの測定を多種類行なった。これらの結果により、前年度に判明していた項目にサイトカイン測定結果を加えた各項目がDiHS/DRESS経過中の自己免疫疾患発症の予測を可能にするrisk factorであることを明らかにできた。自己免疫疾患の発症を予測する臨床スコア作成を前年度から開始しており、本年度中には未完成であるが概ねの概要形成は終了しており、次年度は試行的に作成したいくつかの臨床スコアおよびアルゴリズムを元にした確認作業を行い、最終判断をしたいと考えている。これらが完成すれば、発症リスクの高い症例に絞った密な経過観察を行うことが出来、臨床的価値の高い結果が得られると考えている。 以上の理由から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年間の検討結果を元に最終年度である2021年度は① 自己免疫疾患の発症を予測する臨床スコア作成、② 作成した臨床スコアを元にした自己免疫発症の予測アルゴリズムの作成、③ DiHS/DRESSで自己免疫を発症する機序の候補であるregulatory T細胞の解析を主に行う。具体的には、 ① 本年度の検討を元に確定してたrisk factorによる自己免疫疾患発症予測スコアを更にブラッシュアップし、確定する。② 確定した自己免疫疾患発症予測スコアを元に新規症例でのvalidationを行う。③上記臨床スコアを用いた自己免疫疾患発症を予測するアルゴリズムを確定する。④ 発症機序の解明のために、regulatory T細胞 (Treg)の経時的な検討を行う。末梢血中のTregの頻度のみでなく、抑制性の機能を有するTregの変動を主体とした検討を行う。予備実験では、自己免疫発症群ではDiHS/DRESS発症早期におけるTreg分画が非発症群と比較して異なる可能性が示唆されている。 これらの検討を最終年度である次年度に行い、本研究を完遂させる予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は対象検体の血清を用いて、各種血清サイトカイン、ケモカインを解析した。次年度は今までの結果を踏まえ、リンパ球検体を用いたフローサイトメトリーによる解析を行う予定である。これにより、予定通りに研究費を使用し研究を遂行することができると考えている。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Association of HLA-A*11:01 with Sulfonamide-Related Severe Cutaneous Adverse Reactions in Japanese Patients2020
Author(s)
Nakamura R, Ozeki T, Hirayama N, Sekine A, Yamashita T, Mashimo Y, Mizukawa Y, Shiohara T, Watanabe H, Sueki H, Ogawa K, Asada H, Kaniwa N, Tsukagoshi E, Matsunaga K, Niihara H, Yamaguchi Y, Aihara M, Mushiroda T, Saito Y, Morita E
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Journal Title
J Invest Dermatol
Volume: 140
Pages: 1659-1662
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The nationwide epidemiological survey of Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis in Japan, 2016-20182020
Author(s)
Sunaga Y, Kurosawa M, Ochiai H, Watanabe H, Sueki H, Azukizawa H, Asada H, Watanabe Y, Yamaguchi Y, Aihara M, Mizukawa Y, Ohyama M, Hama N, Abe R, Hashizume H, Nakajima S, Nomura T, Kabashima K, Tohyama M, Takahashi H, Mieno H, Ueta M, Sotozono C, Niihara H, Morita E, Kokaze A
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Journal Title
J Dermatol Sci
Volume: 100
Pages: 175-182
DOI
Peer Reviewed
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