2020 Fiscal Year Research-status Report
皮膚筋炎におけるI型インターフェロン発現上昇:LINE-1とウイルス感染の関与
Project/Area Number |
19K08766
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清水 晶 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (70396638)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | レトロトランスポゾン / LINE-1 / 皮膚筋炎 / ウイルス / メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病発症には、ヒトゲノムの大部分を占めるレトロトランスポゾンの関与が知られている。我々は群馬大学皮膚科で経験した皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、健常人の末梢血白血球を使用し、LINE-1を始めとした3種のレトロランスポゾン(LINE-1、HERVK14、SVA)の発現を定量PCRで検討した。また、膠原病の病態形成に関与すると思われるI型インターフェロンの発現も併せて検討した。現在までに、3種のレトロトランスポゾンの発現が特に皮膚筋炎で有意に上昇し、かつI型インターフェロン発現と相関していることを明らかにした。レトロトランスポゾンは主にメチル化により発現が制御されることから、メチル化酵素(DNMT3A, DNMT3B)の発現も解析した所、皮膚筋炎の血球細胞ではそれらの遺伝子発現にも異常が見られた。LINE-1プロモーター領域の解析も行い、皮膚筋炎患者では健常人に比べ有意に脱メチル化が生じていることを明らかにした。レトロトランスポゾンとインターフェロンの相関は培養細胞でも見られ、両者の相互制御について検討中である。皮膚筋炎を始めとした膠原病で観察されるI型インターフェロン発現にはレトロトランスポゾンが関与する可能性があり、研究は最終段階である。皮膚筋炎で得られたレトロトランスポゾンとI型インターフェロン発現の相関については米国の国際誌にアクセプトされた。上記膠原病に加え、自己免疫性水疱症でも興味深いデータが得られ、様々な自己免疫疾患で見られるレトロトランスポゾンとI型インターフェロン発現の相関に関して現在国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚筋炎の1型インターフェロン発現に関与する因子として、ウイルス感染とレトロトランスポゾン発現を検討した。皮膚筋炎の検体でウイルスは検出されなかったが、レトロトランスポゾンの発現が上昇しており、1型インターフェロン発現との強い相関が見られた。これらのデータを米国の国際誌に発表した。様々な自己免疫疾患におけるレトロトランスポゾンと1型インターフェロン発現の相関についても興味深いデータが得られており、国際誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデスと自己免疫性水疱症に対象を拡大し検討中である。LINE-1と1型インターフェロン発現の相関について興味深いデータが得られつつある。また培養細胞を用いた実験も行い、これらの相関が培養細胞でも見られる一般的な現象である可能性が示唆された。これらのデータは国際誌、学会に発表予定である。
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Causes of Carryover |
研究試薬の節約による。
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Research Products
(1 results)