2020 Fiscal Year Research-status Report
炎症性皮膚疾患における皮膚浸潤T細胞のMDR1発現とステロイド抵抗性
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19K08772
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤山 俊晴 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60402301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乾癬 / MDR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
尋常性乾癬の皮疹部より、IL-2と抗CD3/CD28抗体を用いて培養した皮膚浸潤T細胞を用いて、MDR1の発現とその機能を検討した。 これまで、Rh123を用いて細胞を染色し、トランスポーターの機能により細胞内の色素が消失または減少したものをMDR1陽性細胞(色素がそのままのものをMDR1陰性細胞)として、フローサイトメトリーを用いた機能解析を行っていた。本法ではMDR1特異的阻害薬により色素の減少が抑制されることで、MDR1の特異的機能を評価していると判断されているが、問題点として、他のABCトランスポーターの機能も含めて評価している可能性が指摘されていた。そこで、分離したRh123陽性細胞およびRh123 陰性細胞をフローサイトメーターで分離し、その陽性細胞と陰性細胞よりmRNAを抽出し、それら細胞のABCトランスポーターの遺伝子発現を網羅的に解析した。その結果、Rh123陰性細胞(機能的にMDR1陽性と評価される細胞)ではMDR以外の複数のABCトランスポーターの発現の更新も確認された。さらに、これらの一部はその機能が十分に解明されていないものであった。しかし、実際のステロイド外用皮膚ではMDR1は亢進しているのに対して、それら遺伝子の発現が亢進してはおらず、関連性は低いと考えられ、Rh123を用いた評価に影響は少ないと考えた。また、これらのMDR1を発現するT細胞に病原性があるかの解析として、分離したRh123陽性および陰性細胞の遺伝子発現の解析を行った。その結果、乾癬の病態に関わるとされているTH17細胞で発現しているRORCなどの遺伝子はRh123陰性細胞において陽性細胞以上に発現していることが確認された。 本年度の結果より、Rh123によりT細胞のMDR1機能が評価できていることを確認でき、このRh123陰性細胞すなわちMDR1陽性細胞は、病態に関わる細胞を含むことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、試験管内でのステロイド抵抗性の解析を中心に行う予定であったが、実験施設の引っ越し、新型コロナウィルス感染症の感染拡大などの影響を受け、実験法の妥当性を確認する作業が主になった。このステップも必要なステップであるため、全体の進捗状況はおおむね順調と関考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に行えなかった、試験管内でのステロイド抵抗性がみられることの検証を行い、これまでの知見とあわせて報告できるレベルに到達させたい。加えて、他の皮膚疾患においてもステロイド治療によりMDR1陽性細胞が増多するかどうかを示したい。
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Causes of Carryover |
実験室の工事などにより試薬の購入時期がずれ込み、次年度使用額が生じた。実験を継続予定であり、試薬がなくなり次第購入する。
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