2021 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性皮膚疾患における皮膚浸潤T細胞のMDR1発現とステロイド抵抗性
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19K08772
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤山 俊晴 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60402301)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乾癬 / T細胞 / MDR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討で、Rh123を用いた解析で皮膚より培養増幅したT細胞のMDR1発現が評価可能であること、尋常性乾癬においてステロイドを外用した皮膚では、他の治療を行った皮膚に比べてMDR1を発現したT細胞の頻度が増加しているとが示されていた。 本年度は、in vitroの培養系でT細胞にステロイドを添加し、MDR1陽性細胞の比率が増加するかを検討した。検討に先駆けて、in vitroでのステロイドのT細胞に対する反応性を検討した。乾癬の病変部皮膚より培養増幅したT細胞を用いて、種々の濃度のIL-2とステロイドを添加して培養し経時的にその細胞数と生存率を検討した。その結果、IL-2が高濃度で存在する状況では、ステロイド(水溶性プレドニゾロンおよびベタメタゾン)の濃度を変化させても、細胞数および生存率の有意な低下が確認できなかった。一方で、IL-2の非存在下では、ステロイドの濃度に比例して細胞の生存率が低下する傾向を示した。高濃度IL-2存在下ではステロイドはT細胞の増殖や生存を十分に抑制できないことから、その後の検討は、IL-2非存在下で行うこととした。しかし、IL-2非存在下では、T細胞は長期に生存できないため、経時的な検討を行い、最適な評価のタイミングを確認した。 IL-2非存在下に皮膚より培養増幅したT細胞にベタメタゾンを種々の濃度で添加して培養すると、特にCD4陽性T細胞においては濃度依存性にMDR1陽性細胞の比率が増加することが確認できた。一方で、CD8陽性T細胞においてはベタメタゾンの添加によって軽度のMDR1陽性細胞の比率の増加が確認できたが、はっきりとした濃度依存性は確認できず、MDR1を介したステロイド抵抗性は、主にCD4陽性T細胞においてより重要であると考えられた。この他、MDR1発現とステロイド存在下のサイトカイン産生についても検討を行った。
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