2019 Fiscal Year Research-status Report
表皮角化細胞の増殖分化を制御する核タンパク質Ahedの分子機能の解明
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19K08773
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表皮角化細胞 / 増殖 / 分化 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はAhedの分子機能を明らかにすることである。Ahedの分子機能解明のため、Ahed欠損による発現遺伝子変化を網羅的に解析した。タモキシフェン誘導性表皮特異的Ahed欠損マウスから表皮角化細胞を調製し、これに活性型タモキシフェンをin vitroにて作用させてAhedを欠損させた。野生型およびAhed欠損表皮角化細胞から全RNAを調製し、創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム・バイオロジカルシーズ探索ユニットの支援を受けて、トランスクリプトーム解析を行った。野生型と比較してAhed欠損細胞で発現が有意に増加した遺伝子は488、減少した遺伝子は581あった。GO解析から発現が増加した遺伝子群には小胞体内タンパク質合成関連遺伝子が複数含まれていた。発現が減少する遺伝子群にはTNFシグナル伝達、MAPKシグナル伝達経路、JAK-STATシグナル伝達経路、PI3-AKTシグナル伝達経路に関わる遺伝子が確認された。これらより、Ahedは様々な遺伝子発現に関わる事が示唆される。 免疫沈降法―質量分析にてAhed結合タンパク質の同定を試みた。Ahed-GFP安定発現HeLa細胞を用いて、抗GFP抗体により免疫沈降を行った。得られたタンパク質をSDS-PAGEにて分離すると特異的なバンドが複数検出された。これらのバンドに含まれるタンパク質を質量分析装置で解析したところ、複数のspliceosome関連タンパク質が同定された。この結果はAhedがspliceosomeの1因子として働き、RNAスプライシングを制御することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は研究計画に沿って概ね順調に実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスクリプトーム解析結果より、Ahed欠損によるスプライシングの変化が示唆された。スプライシング変化を網羅的解析する目的で、創薬等先端技術支援基盤プラットフォームの支援により、完全長cDNAを用いたトランスクリプトーム解析を実施する。スプライシング変化示された各遺伝子についてはRT-PCRにより確認を行う。 新たに作出したRosa26CreERT2_Ahedflox/floxマウスに対して、タモキシフェン投与による全身性のAhed欠損がどのような障害を引き起こすのか観察する。またこのマウスの皮膚より線維芽細胞を分離培養して、in vitroでAhedを欠損させて細胞増殖や分化誘導に影響が生じるのか検討する。
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