2020 Fiscal Year Research-status Report
表皮角化細胞の増殖分化を制御する核タンパク質Ahedの分子機能の解明
Project/Area Number |
19K08773
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表皮角化細胞 / 増殖 / 分化 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は表皮角化細胞の増殖・分化に関わるAhedの分子機能を明らかにすることである。これまでの研究成果よりAhedはspliceosomeを構成するタンパク質としてmRNAスプライシングに関わることが示唆された。Spliceosomeは巨大なタンパク質-RNA複合体であり、少なくとも200以上のタンパク質で構成されていると考えられている。Ahedがspliceosomeでどのタンパク質と直接結合しているのか明らかにする目的で、in vitro transcription / translationにより組換えタンパク質を合成し、免疫沈降―免疫ブロットにより検討を行った。結果として2種のspliceosome構成タンパク質との結合が確認された。またAhedの欠損によりsplicingに変化が生じているのか検討するために、創薬等先端技術支援基盤プラットフォームの支援を受けて、完全長cDNAシークエンスを実施した。結果として約14,000遺伝子座に由来するAhedKOにより生じるスプライシングバリアントが検出された。これらよりAhedがsplicingに関わることが強く示唆された。 新たに作出したRosa26CreERT2_Ahedflox/floxマウスに対して、タモキシフェン投与による全身性のAhed欠損がどのような障害を引き起こすのか観察した。タモキシフェン投与開始から10日目より明らかな体重減少が認められ12日目に安楽死処分となった。肉眼的では胸腺の萎縮と十二指腸以下腸管の浮腫状変化が認められた。組織学的には胸腺細胞および腸管粘膜上皮の変性壊死が顕著であった。その他、皮膚表皮、舌粘膜上皮の変性壊死や骨髄および脾臓における造血系細胞の著しい減少が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で研究の中断が余儀なくされたが、概ね研究計画に沿って研究が遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ahedと直接結合することが示された2タンパク質について、これらのタンパク質との結合に必要なAhedのドメインを明らかにする。Ahedの一部を欠損させたexpression vectorを作成し、in vitro transcription / translation -immunoprecipitation - immunoblottingにより検討を行う。Ahed KOによるsplicingの変化をconventional PCRにより確認する。Rosa26CreERT2_Ahedflox/floxマウスで見られた造血系細胞の変化については協力体制にある研究にグループが詳細な検討を行う。
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