2019 Fiscal Year Research-status Report
二次性リンパ浮腫の病態解明と新しい薬物治療法の開発
Project/Area Number |
19K08789
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 真規 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40733514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 由里奈 浜松医科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (30645875)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | リンパ浮腫 / 薬物治療 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット下肢を用いたリンパ浮腫モデルの作成に成功した。さらに、本モデルは、皮下リンパ液貯留、細胞浸潤、皮膚硬化、脂肪細胞増生を示し、ヒトと同様に経過することを証明した。さらに、リンパ浮腫の皮膚硬化の病態には、活性化した線維芽細胞(筋線維芽細胞)から産生されるTGFβによる、Smadシグナルが関与することを示した。Smadシグナルは、線維芽細胞や、リンパ管内皮細胞で認められ、皮膚組織中の膠原線維増加、リンパ管狭小化の原因となる。このシグナルを抑制できれば、皮膚硬化やリンパ管狭小化を抑制し、リンパ浮腫に対する新たな薬物治療の開発につながる可能性を示した。 以上の研究成果を、2019年度リンパ学会総会、静脈学会総会にてそれぞれ報告した。さらに、Cancer Scienceに投稿し(Potential role of transforming growth factor-beta 1/Smad signaling in secondary lymphedema after cancer surgery)、アクセプトされ2020年に掲載予定である。 また、リンパ浮腫の皮下脂肪組織に着目した。脂肪組織から炎症性アディポカインの産生を認めなかったが、脂肪組織中でマクロファージが王冠様構造を形成することを発見した。さらにこれらのマクロファージがTGF-βを産生することを示した。つまり、脂肪細胞の増加はマクロファージ浸潤とTGF-β産生を促進し、皮膚線維化に関与する。以上の研究成果について、2020年度の日本静脈学会総会、日本リンパ学会総会、日本脈管学会総会で発表予定である。さらに、2020年に上記内容をLymphatic Research Biology へ投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ浮腫皮下脂肪組織の病態への関与について、十分なデータが得られた。現在、Lymphatic Research Biologyへ投稿準備中である。 また、エイコサペンタエン酸の治療効果については、実験継続中である。術後3カ月までのデータで、既に治療効果を得られている。術後6か月まで経過観察を行い、令和2年度中に英文誌へ投稿予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験はおおむね予定通りに進展しており、研究計画に変更はない。上記の2本の論文(リンパ浮腫と脂肪細胞、ラットリンパ浮腫モデルにおけるエイコサペンタエン酸の治療効果)が英文誌にアクセプトされたら、令和3年には予定通り、ヒトへの臨床研究へ推進する。
|