2019 Fiscal Year Research-status Report
ω-5グリアジン欠失1BS-18小麦の耐用量と継続摂取による免疫寛容に関する研究
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19K08791
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
千貫 祐子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (00294380)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ω-5グリアジン / 小麦アレルギー / 1BS-18小麦 / 好塩基球活性試験 / CD203c / 抗原特異的IgG4 / 免疫寛容誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
ω-5グリアジン特異的IgEを有し、小麦摂取制限している成人小麦アレルギー患者5名に対して、ω-5グリアジン欠失小麦系統1BS-18ホクシンから作製したパン(1BS-18小麦パン)の摂取可能量を確認し(ステップ1)、その結果に基づいて、摂取可能量の1BS-18小麦パンをその後3ヶ月間毎日摂取してもらい、アレルギーの病勢について評価を行った(ステップ2)。また、ステップ1開始前、ステップ2開始時、終了時、追跡調査時に好塩基球活性化試験(CD203c発現測定)を行い、小麦抗原への反応性を評価した。 ステップ1において、漸増摂取試験によって摂取可能量を確認した結果、5例全例で60g/日までの摂取が可能であった。ステップ2にて3ヶ月間毎日1BS-18小麦パン60g/日を摂取してもらったところ、特に有害事象はみられなかった。 好塩基球活性化試験(CD203c発現測定)による小麦抗原への反応性の評価では、終了時や追跡調査時に反応性が改善している症例もあれば、改善していない症例もあり、現時点では一定の傾向がみられていない。 また、本研究にはω-5グリアジン欠失小麦系統1BS-18ホクシンの安定した供給が必要であり、現時点で島根県浜田市と益田市において、他品種との交雑を回避した上で、安定供給を得ており、今後もω-5グリアジン欠失小麦系統1BS-18ホクシンから作製したパンによるステップ1およびステップ2を遂行する。さらに症例を追加して、血清中抗原特異的IgG4測定を行い、免疫寛容誘導に関する検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ω-5グリアジン特異的IgEを有し、小麦摂取制限している成人小麦アレルギー患者の研究への参加状況、ω-5グリアジン欠失小麦系統1BS-18ホクシンの供給状況ともに順調である。摂取可能量の確認、その結果に基づいた摂取可能量の1BS-18小麦パンの3ヶ月間毎日摂取も、有害事象なく順調に経過している。好塩基球活性化試験については、ステップ1開始前、ステップ2開始時、終了時、追跡調査時に適宜行っており、小麦抗原への反応性を評価している。 免疫寛容誘導の評価のための血清中抗原特異的IgG4測定は、今後、保存血清にてまとめてELISA法にて施行予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ω-5グリアジン特異的IgEを有し、小麦摂取制限している成人小麦アレルギー患者における、ω-5グリアジン欠失小麦系統1BS-18ホクシンによる免疫寛容誘導の可能性について、現時点では一定の方向性がみられていない。今後は、説明と同意の上で、さらに研究参加患者を増やし、ステップ1とステップ2における臨床症状と有害事象の確認、および好塩基球活性化試験と血清中抗原特異的IgG4測定による評価を進め、データを収集する予定である。
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