2021 Fiscal Year Research-status Report
ガドリニウム刺激による皮膚線維芽細胞のリプログラミングの可能性
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19K08799
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
林 周次郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (00599871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 健 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00372441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガドリニウム造影剤 / 腎性全身性線維症 / リプログラミング / ガドリニウム造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、希釈したガドリニウム造影剤を培養細胞に負荷すると、細胞数が増加することは解っている。しかし、ガドリニウム造影剤にはガドリニウイオンの他にもキレートなどが混入しており、純粋なガドリニウムイオンではない。その為、培養液内で本当にイオン化されたガドリニウムが、細胞増殖に影響をもたらしているか不明であった。 ガドリニウム硝酸液を希釈して実験に使用し、コントロールには、同じ濃度に希釈した硝酸液をコントロールとして用いて実験を開始した。 ガドリウム硝酸塩ではコントロール(硝酸塩)のみと比較して、有意に細胞増殖と未分化マーカーの発現亢進を確認できた。しかし、コントロール(硝酸塩)に おいても、未処理の線維芽細胞と比較して、細胞増殖と未分化マーカーの発現亢進を認めてしまっていた。 一方,検水に溶きにくいガドリウムイオン水の作成は不可能で、ガドリニウム単独での細胞の影響を検討することが困難な状況であった。 本研究のきっかけとなった腎性全身性線維症で、もっとも発症原因として多いガドジアミド造影剤の使用は、その造影剤が生体内でガドリニウムイオンとキレートの結合の分離が早いためと考えられている。そのため製造会社にガドリニウムを含まない、造影剤の提供を依頼したが、新型コロナウイルスの影響で連絡待ち が長く続いたうえ、入手困難な状況である。 このような状況で、思うように実験が進行していないが、昨年度はキレートとの結合時間が長く、腎性全身性線維症の発症原因として報告が極めて少ないガドリニウム造影剤と、ガドジアミドと比較しガドリニウムイオンによる細胞への影響について検討するした。過去の報告で、腎性全身性線維症の報告が少ないマグネスコープと、報告が多いガドジアミド用いた結果、ガドジアミドでより未分化マーカーの発現亢進を確認できた。本年度では細胞増殖能の違いについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガドリニウムの人体に及ぼす影響を直接検討する方法が、予想外に困難であった。 水溶性ガドリニウムには、強酸水が必要であり、強酸水自体の影響を評価する必要があった。さらに、ガドリニウム造影剤はキレートと結合しているが、キレートとのみ入手が困難であった。結果的に、非直接的な検討ととして、過去のコホート研究により腎性全身性線維症のリスクが低いガドリニウム造影剤と、高い造影剤で比較する方法となり、研究が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的には、ガドリニウムによりリ線維芽細胞のリプログラミング現象を証明し、さらにリプログラミングを起こした細胞を他の形質を有した線維芽細胞に誘導することを目標としていたが、本研究期間内での研究では、非直接的にガドリニウムによりリ線維芽細胞のリプログラミング現象を証明に留めざる負えないと考える。
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Causes of Carryover |
今回、新たにマグネスコープを研究にもちいるため細胞実験に使用するマグネビストの実験至適濃度の設定が必要になり、時間を要したが無事に設定することが出来た。しかし、設定した至適濃度のマグネスコープを用いた、細胞増殖能の違いについて検討が未達成であり、その実験のための研究費が残ってしまった、次年度に残りの研究費用を使用し実験を行う。
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