2021 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病の感染様式に関る分子機構の解明とそれを標的とした感染防御ワクチンの開発
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19K08800
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Research Institution | ヤマザキ動物看護専門職短期大学 |
Principal Investigator |
藤村 響男 ヤマザキ動物看護専門職短期大学, 動物トータルケア学科, 教授 (50209087)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハンセン病 / 感染様式 / 侵入蛋白 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、らい菌の細胞侵入に関わる分子機構につき解析を行い、らい菌がmce1A蛋白を用いて鼻粘膜上皮細胞を標的として感染する事、及びmce1A蛋白の一部領域をブロックすることで侵入を抑制できることを明らかにしてきた。本研究の目的は、ワクチン開発ヘの基礎的検討の最終段階として、らい菌の体内への侵入経路である鼻粘膜細胞とリザーバーである微小血管内皮細胞への侵入に関わる蛋白の各部位を標的とした各種抗体を用いて侵入抑制効果を検討すると共に、ハンセン病患者におけるmce1A蛋白に対する抗体の有無およびサブクラスについても併せ検討するところにある。 これまでの研究結果から、想定された侵入活性領域316~531bp (106AA~177AA)の内、316~387bp (106~129AA)と388~453bp (130~151AA)にまたがる領域(121~144AA)に対する高度免疫血清で侵入活性が最も抑制されることが明らかとなった。そこで、安定した継続的な実験を行うため本領域(121~144AA)に対する単クローン抗体の作製を行い、4種のIgG2a抗体と1種のIgG2b抗体、および1種のIgG1抗体を得た。これらの抗体は、ウエスタンブロット解析によりM.lepraeの天然型および組み換え型mce1A蛋白を認識したが、316bp~531bp (72AA領域)を外膜表示した組換え大腸菌を用いて侵入抑制効果を検討した結果、進入抑制効果(中和活性)は認められなかった。 ハンセン病患者におけるmce1A蛋白に対する抗体の有無およびサブクラスの検討については、インドネシアへの渡航規制によりハンセン病の多発地域における現地調査と血清の収集が延期されたままとなっている為、着手出来ない状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
インドネシアへの渡航規制によりハンセン病の多発地域における現地調査と血清の収集が延期されたままとなっている為。
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Strategy for Future Research Activity |
121~144AAの領域に対する単クローン抗体の作製を再度行いつつ、手持ちの高度免疫血清を用いてらい菌に対する侵入抑制効果を検討する。更に渡航規制解除後は、速やかにインドネシアで現地調査を行い、臨床応用に向けてハンセン病患者におけるmce1A蛋白に対する抗体の有無およびサブクラスについて併せ検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症に伴う渡航規制により国外出張(インドネシア共和国における現地調査)が行えなかった為、次年度に実施することにしたことによる差額である。渡航規制解除後に速やかにインドネシア共和国を訪問し、現地調査を実施する。
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