2020 Fiscal Year Research-status Report
分子標的治療薬の重症アトピー性皮膚炎に伴う円形脱毛症への効果解析と病態解明
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19K08804
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 元信 産業医科大学, 医学部, 教授 (30303837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 円形脱毛症 / アトピー性皮膚炎 / 抗体 / インターロイキン |
Outline of Annual Research Achievements |
円形脱毛症は、後天性に類円形の脱毛斑を生じる疾患で、毛器官に対する自己免疫疾患であると考えられている。これまでステロイド外用、局所免疫治療、液体窒素凍結療法、紫外線療法などが用いられてきているが、治療が効果を示さない症例も多い。円形脱毛症患者の23%にアトピー性皮膚炎が合併し、アトピー性皮膚炎合併例では脱毛が重症化し、難治なことが多い。アトピー性皮膚炎に対して、2018年より抗IL-4/IL-13受容体抗体が治療に用いられているが、アトピー性皮膚炎に合併した円形脱毛症への効果のメカニズムは示されていない。当院で重症アトピー性皮膚炎患者と円形脱毛症が合併している7名に抗IL-4/IL-13受容体抗体を投与し、アトピー性皮膚炎に対する効果をまず検討した。アトピー性皮膚炎に対する効果判定にはEczema Area and Severity Index (EASI)というアトピー性皮膚炎の重症度の指標を用いた。抗IL-4/IL-13受容体抗体16週投与継続できた症例でEASIが75%以上減少したEASI-75達成率は100%であった。また7名中6名の患者で円形脱毛症の改善がみられた。また、1名の患者では抗体の投与部周辺に発毛が生じた。これらの結果から抗IL-4/IL-13受容体抗体がアトピー性皮膚炎と円形脱毛症の双方に効果を示すことが考えられ、そのメカニズムについて今後症例を増やし検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産業医科大学の倫理委員会より本研究が承認され、重症アトピー性皮膚炎患者と円形脱毛症が合併している7名に抗IL-4/IL-13受容体抗体を投与し、半年以上臨床経過を観察し、7名ともアトピー性皮膚炎の症状が軽減し、6名で円形脱毛症が改善していることを観察できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
アトピー性皮膚炎に合併した円形脱毛症患者への抗IL-4/IL-13受容体抗体投与症例数を増やし、アトピー性皮膚炎の皮疹と円形脱毛効果の検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で実験室が使用できない時期があったため。次年度にELISAキットなどを購入して実験を推進する予定である。
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