2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療薬の重症アトピー性皮膚炎に伴う円形脱毛症への効果解析と病態解明
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19K08804
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 元信 産業医科大学, 医学部, 教授 (30303837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 円形脱毛症 / インターロイキン / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
円形脱毛症は毛器官に対する自己免疫反応によって引き起こされると考えられている。単発の円形脱毛症は自然に軽快することが多いが、多発型や全頭型の円形脱毛症では治療をしないと悪化することが多い。円形脱毛症の治療にはこれまで副腎皮質ステロイドの外用や内服や紫外線療法などが用いられてきたが、これらの治療に反応しない症例も多い。最近アトピー性皮膚炎には抗インターロイキン(IL)-4、13受容体抗体が用いられるようになり、アトピー性皮膚炎の紅斑やかゆみに効果を示すことが明らかになってきたが、アトピー性皮膚炎に伴った円形脱毛症も改善するとする症例報告が出てきている。そこでアトピー性皮膚炎にお伴った円形脱毛症患者に抗IL-4、13受容体抗体を投与し、円形脱毛症に効果を示すかどうか検討した。産業医科大学倫理委員会の承認を得た後、円形脱毛症を伴ったアトピー性皮膚炎患者の同意を取得し、抗IL-4、13受容体抗体を投与した。1名の患者で抗IL-4、13受容体抗体を皮下注射を行った部位の周囲に多毛が生じ、抗IL-4、13受容体抗体が局所の毛器官の毛周期に直接的な影響を示すことが示唆された。円形脱毛症に対する抗IL-4、13受容体抗体の効果は大きく3群に分かれ、円形脱毛症の部位から発毛し、そのまま軽快する第1群、円形脱毛症の部位から3-4か月発毛した後、脱毛する第2群、円形脱毛症の部位から全く発毛しない第3群があった。各群の間のアトピー性皮膚炎の重症度には有意差はなく、他の因子が抗IL-4、13受容体抗体の円形脱毛症に対する効果を規定していることが推測された。
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