2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫反応と皮膚生理機能異常からみた痒疹の病態解析と治療に関する研究
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19K08805
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 貴浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 皮膚科学, 教授 (30235361)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痒み / ERK2 / アロネーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢神経および中枢神経ERK2欠損マウスを用いて掻破行動にあたえる研究を進めてきた。中枢神経ERK2欠損マウスはヒスタミンに対するchemical itchが減少したがBAM8-22では変化がなかった。ヒスタミン皮下投与では脊髄においてリン酸化ERK2の発現上昇が確認されたがBAM8-22ではみられなかった。一方、触覚刺激によるmechanica itchすなわちアロネーシスはヒスタミン、BAM8-22いずれの局所投与後でも低下がすることが確認された。さらに中枢神経ERK2欠損マウスで慢性接触過分反応を起こすと耳介腫脹に変化はなかったが、自発的掻破行動は減弱した。これを裏付けるようにコントロールマウスの脊髄では慢性接触過敏反応誘導でリン酸化ERK2発現が高まっていた。さらにこの状態でのmechanical itchも中枢神経ERK2欠損マウスで低下していた。IgE誘導性マウス痒疹反応モデルでもmechanical itchは低下した。また意外なことにこれら一連の反応系において末梢神経ERK2欠損マウスでは全く掻破行動の低下はみられなかった。脊髄でリン酸化ERK2を発現しているニューロンを探索したところ、GRPR, Neurokinin B, Urocortin 3をそれぞれ発現してる細胞が接触過敏反応誘導時にERK2がリン酸化されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた研究でこれまでそのメカニズムが謎であったアロネーシスが脊髄ニューロンのERK2シグナルに依存していることが明らかになってきた。現時点ではその中でもurocortin 3陽性細胞のERK2が重要ではないかと推測しさらに研究を進めている。一方、ヒト皮膚病変での研究は現在開始しはじめている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
神経ERK2の関与につき、今後はIL-31, IL-4/-13などでのchemical itch, mechanical itchの実験を遂行する。一方、今後は炎症性皮膚疾患、とくにや痒疹患者におけるアロネーシスや発汗機能異常との関連の研究を進める。
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Causes of Carryover |
マウス研究でのconditional knockout mouseのbreedingに時間を要してきた。またヒトでの研究の開始が遅れており、費用を次年度に持ち越すこととした。
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Research Products
(9 results)