2020 Fiscal Year Research-status Report
重症薬疹におけるCD16陽性単球の役割ー表皮障害のinitiatorとして
Project/Area Number |
19K08806
|
Research Institution | National Hospital Organization Shikoku Cancer Center |
Principal Investigator |
藤山 幹子 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター(臨床研究センター), 併存疾患センター, 部長 (60263935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 千佳 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (50736139) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Stevens-Johnson症候群 / 中毒性表皮壊死症 / 多形紅斑 / 免疫チェックポイント阻害薬 / CD16陽性単球 / interface dermatitis |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の抗PD-1/PD-L1抗体製剤の投与下で生じた薬疹は、水疱や表皮剥離をきたしやすいが、全層性の表皮障害を特徴とするStevens-Johnson症候群(SJS)/中毒性表皮壊死症(TEN)とは病理組織所見が異なる。本研究者は、SJS/TENの表皮障害にCD16陽性単球が関与することを明らかにしており、本研究では、ICI投与中に生じる表皮障害へのCD16陽性単球の関与を検討する。 前年度は多形紅斑(EM)やSJS/TEN に関与していると考えられるTNFα、IFNγに注目し、これらにより発現が誘導されるICAM-1、HLA-DRなどの分子の発現を比較検討した。その結果、これら分子の発現パターンはEMとSJS/TENとで異なっていること、また、ICI投与下でみられた表皮下水疱を形成するinterface dermatitisでは、これら分子の発現がSJS/TENではなくEMと似ることを明らかにした。 当該年度は、CD16陽性単球の表面マーカーの発現を比較検討した。SJS/TENでは、CD16陽性単球が表皮真皮接合部に数多く浸潤し、CD80、CD86、CD137Lを強く発現していた。多形紅斑において、基底細胞の空胞変性が顕著なとき、SJS/TEN同様に表皮真皮接合部にCD16陽性単球が浸潤するが、これらの細胞はCD80、CD86の発現はほとんどみられず、CD137Lの発現が強い。ICIの関与するinterface dermatitisでみられる表皮真皮接合部のCD16陽性単球は、CD80、CD86の発現は弱いがCD137Lの発現は強くみられ、EMと同じ発現パターンを示した。以上の結果は、ICI 投与下でみられる水疱を形成する紅斑は、多形紅斑と同じスペクトラムに位置付けられるものの、SJS/TENとは異なることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
病理組織を用いた免疫染色の検討は計画通り行えている。一方、当初計画していた培養表皮細胞を用いたin vitroの研究については、COVID-19の影響で愛媛大学医学部の研究室を利用できない期間が度々あり、実施が困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在も学外からの立ち入り規制のため愛媛大学医学部皮膚科の研究室を利用できない状況が続いており、in vitroの実験については計画がたたない。そこで、今年度も免疫染色による検討を主とし、ICI の関与する表皮障害において重要な所見である細胞死の形態に注目して検討することで、SJS/TENとの相違を明らかとしたい。
|
Causes of Carryover |
国内外の旅費の使用がなかったため、次年度使用額を生じた。今年度はオープンアクセスの論文を発表する際に使用する。
|
Research Products
(2 results)