2021 Fiscal Year Annual Research Report
急性白血病におけるスーパーエンハンサーを介した転写因子ネットワーク異常の解明
Project/Area Number |
19K08811
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
河原 真大 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80617449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 白血病 / スーパーエンハンサー / キメラ遺伝子 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血に関わるマスター転写因子群は、ネットワークを形成してお互いに協調や干渉しあうことで造血分化を司る。この協調・干渉を行う場として、スーパーエンハンサー(SE)と呼ばれる非コードゲノム領域が近年注目されている。SEは、複数の転写因子の結合とそれによってリクルートされるエピジェネティクス因子(ヒストン修飾因子など)によって制御を受ける。そこで本研究は、SEの異常は造血分化の異常を引き起こし、急性白血病の発症メカニズムの一因となるという仮説を明らかにすることを企図して計画された。 最近我々は、予後不良とされる転座t(16;21)により発生する転写因子ERGが関連する融合遺伝子FUS-ERGを有するMDSからAML M7に転化した興味深い症例を経験した。初診時とAML時の全ゲノムシークエンスを行い比較したところ、遺伝子がコードされる領域内に29個のミスセンス変異が新たに加わっていることが判明した。BCORなどの既知の遺伝子変異も含まれていたが、M7との関連性は不明であった。また、非コードゲノム領域内の転写因子結合領域に100以上の変異が確認された。特にGATAやCEBPB, TAL1などの転写因子結合領域の変異が多く含まれていた。さらにこれらのいくつかは、SEのマーカーであるH3K27acのデータベース上の集積部位と合致していた。以上の結果から、SE上の変異がAML発症に関与している可能性が窺われた。
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Research Products
(13 results)