2020 Fiscal Year Research-status Report
GPR25遺伝子による血小板減少性血栓性素因を呈する疾患病態の解明
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19K08816
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山之内 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (10423451)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血小板減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
GPR25遺伝子変異を有する患者での血小板機能検査を継続して行っている。血小板凝集試験では、血小板数を20万/μLに調節した後、ADP 10μM刺激時、collagen 3μg/mL刺激時で、患者血小板は凝集が亢進していた。リガンド結合能、血小板p-selectinの発現は、健常者と比較して、やや亢進しているものの、有意差は認めなかった。また、血栓形成能観測解析システム(T-TAS)を用いて、血栓形成の過程の観察、測定を行った。 GPR25は血小板表面に発現していることは、私達が作製した抗GPR25モノクローナル抗体で確認しており、凝固の場となるリン脂質の発現が亢進しているかをannexin Vの発現で確認した。 また、GPR25遺伝子変異が血栓形成に重要な役割を果たすインテグリンαIIbβ3の活性化に及ぼす影響について検討した。まず、作成済みのGPR25遺伝子の変異体を用い、野生型と変異型をそれぞれインテグリンαIIbβ3が発現しているCHO細胞に遺伝子導入し、リガンド結合能(PAC1結合、フィブリノゲン結合)と細胞接着能について検討した。 私達が作製したGPR25変異トランスジェニックマウスを用い、まずは、血小板数を検討したが、血小板数が減少している個体や正常の個体など様々であった。その上、網羅的にマウス体内での血栓形成を各臓器の組織切片を作って観察したが、残念ながら血栓形成は観察できなかった。 そこで、GPR25遺伝子を欠損した条件下での検討を進めることを計画している。GPR25遺伝子ノックアウトマウスを作製し、このマウスの表現系を形態学的に詳細に観察する。その結果によって、異常臓器を中心としてさらに研究計画を立案する。特に、血栓症が起こっているかどうかを詳細に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者の血小板の解析は終了した。培養細胞に遺伝子導入した後、その機能解析は終了した。また、トランスジェニックマウスを作製し、その解析も終了した。現在、ノックアウトマウスを作製し、そのマウスの解析を行うと共にマウスを使った解析の準備を行っている。当初の予定に沿っておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
GPR25遺伝子ノックアウトマウスを作製し、このマウスの表現系を形態学的に詳細に観察している。その結果によって、異常臓器を中心としてさらに研究計画を立案する。特に、血栓症が起こっているかどうかを詳細に検討する。血栓症がない場合でも、血栓形成機序についてマウス腸間膜動脈にFeCl3溶液を塗布することで血小板血栓形成を誘発し、血栓により血管が閉塞するまでの時間を測定することで、血管障害部位での血小板血栓形成能を検討する。また、造血器系に関しては、このマウスの骨髄細胞を用いたin vitro実験系で分化増殖能に関する検討を実施する。
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Causes of Carryover |
申請時に予定していたノックアウトマウスを用いた解析が進んでおらず、その解析に必要な費用を翌年に繰り越して使用する予定である。
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Research Products
(2 results)