2020 Fiscal Year Research-status Report
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のゲノム変異が微小環境に及ぼす影響と新規治療開発
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19K08818
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 光次 九州大学, 大学病院, 講師 (20571764)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / リンパ腫周囲環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目標は、リンパ腫細胞の遺伝子変異と周囲の微小環境遺伝子発現変化を盛り込むことで、より有用性の高い予後層別化システムを構築することである。さらに、DLBCLの遺伝子変異が、どのような免疫機構を介して、DLBCLの悪性度と相関する特徴的な微小環境を形成するのか、そのメカニズムを明らかにする。 初発DLBCL170症例のFFPE検体を用いた先行研究のnCounter system(NCS)解析で、follicular helper T細胞(Tfh)関連遺伝子ICOS、マクロファージ関連遺伝子CD11c、ストローマ細胞関連遺伝子FGFR1が強力な予後因子として抽出された。これらの微小環境因子を細胞種別に分類して、DMS (DLBCL Microenvironment Signature)スコアを提案、これら3因子の発現レベルでスコア化した。別コホートの初発DLBCL80例のNCS解析を行い、DMSスコアのバリデーションを行った。先行研究と同様に、0-3ポイントの各群に分類されたことから、DLBCLの予後予測モデルとして有用であることが示された。同時に遺伝子変異解析をすすめた。DMSスコアが低い患者群では、B細胞受容体経路活性化を及ぼすCD79B・CARD11・MYD88分子などの予後不良な遺伝子変異を高い頻度で伴っていた。また、P53変異も単独で強力な予後不良因子であったが、これらの症例ではT細胞関連の遺伝子発現が低下、T細胞が機能不全に陥っていることが明らかになった。 本年度は、DLBCLの予後を規定する微小環境の細胞亜集団を同定するため、シングルセル解析を進めた。また、DMS スコアに含まれる因子を、多重蛍光免疫染色システムにより同時に評価、遺伝子変異およびそれに相当する微小環境の細胞亜集団の同定を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、リンパ腫細胞の遺伝子変異と微小環境遺伝子発現変化の相関を検討することを計画目標とし、特に微小環境に関する遺伝子発現変化を中心に解析を進めた。DLBCLの予後を規定する微小環境の細胞亜集団を同定するため、シングルセル解析を進めた。DLBCLの特定のゲノム変異とそれに付随する微小環境の変化を明らかにすることができたことから、順調に研究は進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他の予後因子(COOモデル、IPI等の臨床リスク分類)や微小環境因子も含めた、DLBCL病変をさらに包括的に評価しうるような新たな層別化スコアの作成を試みる。また、DLBCLのシングルセル解析をすすめ、微小環境変化がいかなるメカニズムでリンパ腫病態形成に関わっていくかの糸口をつかむ。DMS スコアに含まれる因子を、多重蛍光免疫染色システムにより同時に評価、遺伝子変異およびそれに相当する微小環境の細胞亜集団の同定を試みる。
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Research Products
(11 results)