2020 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群における無効造血環境形成の血球動態に基づく基礎的検討
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19K08820
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
色摩 弥生 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40291562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 優子 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305357)
池添 隆之 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80294833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MDS / 好中球 / 遊走能 / Rho蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
MDSの特徴は、成熟血球が減少しているにもかかわらず、骨髄中の前駆細胞数は保たれていることであり、しばしば骨髄は過形成である。MDS患者の成熟好中球は、数が少ないばかりでなく、様々な機能異常を有することが報告されており、遊走能異常もその一つである。近年、老化した好中球の骨髄homingにより骨髄環境が変化し、血液前駆細胞が骨髄から髄外に放出され、骨髄の恒常性が保たれていることが報告された。MDS好中球の遊走能低下が、homingを抑制し、前駆細胞の骨髄内蓄積と造血環境の変化を招いている可能性を検証することが本研究の目的である。我々は、MDS好中球で増加しているmiR-34aとmiR-155が、細胞の運動を制御するRho family蛋白Rac1/Cdc42の活性化分子FDG4とDOCK8、及びRac1を標的とし、減少させていることを明らかにした。実際、FDG4とDOCK8の発現を抑制した細胞株のIL-8及びfMLP刺激時の遊走が抑制されることと、MDS患者好中球の遊走能とFDG4とDOCK8の発現量に負の相関がみられることを確認した。次のステップとして、正常好中球とMDS好中球における老化マーカー、 Rac1とRho蛋白活性化分子GEF(FDG4, DOCK8を含む)の発現とhomingを促すCXCL12に対する遊走能とRho蛋白の活性化、骨髄におけるCXCL12発現細胞量、前駆細胞の接着因子の定量系を構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により学内にも感染者が出て、職員にも出勤制限がかかる中、教育体制を全て一新する必要があり、コロナ禍における教育システムを確立させる必要があった。立場上、教育のコロナ対策にエフォートの大部分を充てなければならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症拡大下での教育遂行システムはほぼ再構築できたため、2021年度のエフォートは元のレベルに戻る。組織染色及び定量評価を分担研究者及びそのチームと協力体制を組んで実施することで、遅れを取り戻す。
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Causes of Carryover |
分担研究者のチームによる骨髄組織内の各分子の発現測定系の確立と、代表者チームによるヒトの細胞の解析を同時進行で行う。
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