2020 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群の造血障害・遺伝子変異細胞クローン性拡大とNKG2D免疫との関連
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19K08821
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
園木 孝志 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30382336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NKG2D介在免疫 / 骨髄異形成症候群 / 骨髄不全症候群 / LIG4変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄不全症候群の造血障害におけるNKG2D介在性免疫の役割を骨髄異形成症候群患者臨床検体と骨髄不全を示すLIG4変異マウスを用いて検討している。 1、骨髄異形成症候群患者臨床検体を使った検討:我々は骨髄不全症候群 (BFS) における特発性造血障害発生にNKG2D (Natural-killer group2 member D) 免疫が関与することを提案している. これまでにULBPs やMICA/BなどのNKG2D ligand (NKG2DL)はBFS患者血球膜上によく発現しており, このNKG2DL発現細胞はNKG2D陽性リンパ球により免疫攻撃を受け排除されることを報告した. さらに, BFS患者において, 血清中の可溶性NKG2DL(sNKG2DL)値が血球減少と関連していることを報告した。今回, 骨髄異形成症候群(MDS)患者血清sNKG2DL値を調べ, MDSにおけるsNKG2DLの意義を検討した。【方法】MDS患者65名と健常者10名の血清sNKG2DLs (sULBP-1,3, sMICA/B) 値、MDS患者10名の骨髄sULBP-1値をELISAにて測定し, MDSにおける造血障害への関与を検討した.【結果】健常者と比較し, MDS患者では血清sNKG2DL (sULBP-1,3, sMICA/B) の発現量は有意に低値であった(P<0.01). また, MDS患者10名の骨髄sULBP-1の発現量は血清sULBP-1と比較し, 有意に高値であった (P<0.01). 芽球増加を伴うexcess blasts group (EB-1, 2) とその他の群でsNKG2DLsの発現量に差は認めなかった. 2、LIG4変異マウスを使った検討:Lig4変異マウス(LigW447C/W447C)は骨髄細胞数の低下、末梢血白血球減少が見られた。既報のごとくBリンパ球、Tリンパ球の分化障害がみられた。骨髄細胞を多染色フローサイトメトリー法でみてみると最も未分化な幹細胞は維持されているもののその後の分化が障害されていることがわかった。また、この変異マウスは炎症性腸炎を呈して早期に死亡することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討から健常者に比較してMDS患者では血清NKG2DL値が低値であることがわかった。検討数が順調に増加しており、今後MDS患者の臨床像との関連を検討することが可能となっている。 一方、LIG4変異マウスでは造血障害ばかりでなく炎症性腸炎を呈して早期に死亡することがわかった。現在、炎症性腸炎の原因が分化障害をきたしたT細胞によることを骨髄移植による検討で証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MDSの類縁疾患である再生不良性貧血(AA)や発作性夜間血色素尿症(PNH)患者では血清NKG2DL値は低値であることが報告されている。今回の私たちの結果はその報告と異なった結果であった。MDS検討数を増やすとともにAAやPNH患者の再検討も必要と考えている。 LIG4変異マウスの炎症性腸疾患の発症機序はほぼ解明できた。今後造血障害について詳細な検討を加えていく。
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Causes of Carryover |
旅費を計上していたが、新型コロナウイルス感染拡大のため、ほとんどがWEB開催になり旅費を使う機会がなかったため
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Super-enhancers for RUNX3 are required for cell proliferation in EBV-infected B cell lines.2021
Author(s)
Hosoi H, Niibori-Nambu Akiko, Nah GSS, Bahirvani AG, Mok MMH, Sanda T, Kumar AP, Tenen DG, Ito Y, Sonoki T, Osato M.
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Journal Title
Gene
Volume: 774
Pages: 145421
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Targeting Adaptive IRE1α Signaling and PLK2 in Multiple Myeloma: Possible Anti-Tumor Mechanisms of KIRA8 and Nilotinib.2020
Author(s)
Yamashita Y, Morita S, Hosoi H, Kobata H, Kishimoto S, Ishibashi T, Mishima H, Kinoshita A, Backes BJ, Yoshiura KI, Papa FR, Sonoki T, Tamura S
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Journal Title
Int J Mol Sci.
Volume: Aug 31;21(17)
Pages: E6314
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Pathological characterization of Th1-mediated colitis based on primary immunodeficiency2020
Author(s)
Tamura S, Yamashita Y, Orimo T, Iwabuchi S, Nakashima K, Sasaki I, Hemmi H, Hashimoto S, Ohshima K, Kaisho T, Sonoki T
Organizer
日本血液学会総会
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