2019 Fiscal Year Research-status Report
セマフォリン4Aが移植後免疫応答に及ぼす影響の解明と新規急性GVHD制御法の開発
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19K08827
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
佐竹 敦志 関西医科大学, 医学部, 講師 (50412028)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / セマフォリン / 移植片対宿主病 / マウスモデル / 同種造血幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞(Treg)は、造血器疾患に対する同種造血幹細胞移植の合併症である急性移植片対宿主病(GVHD)に対する抑制効果を有する。そのため、我々はTregを生体内で効率的に増幅する方法を開発するために、同種造血幹細胞移植後のTregの維持・増幅メカニズムを解明することを目指している。セマフォリン4A(Sema4A)はTregの安定化や機能発揮に重要な役割を担っていることが示唆されていることから、同種造血幹細胞移植におけるTregの維持・増殖についてSema4Aが果たしている役割を検討した。 急性GVHDマウスモデルにおいて、ホストマウスでSema4Aが欠損している場合、ホストが野生型である場合と比較し、急性GVHDが重篤となることがわかった。移植後マウスのリンパ球解析では、Sema4A欠損ホストでは移植後のTregが野生型ホストに比べて低下していた。骨髄キメラマウスを用いた実験では、ホスト血液細胞にSema4Aが発現していればGVHDの重症化が起こらないことが判明したため、ホスト血液細胞のSema4Aが移植後の過剰な免疫反応抑制に関わり、GVHD抑制的に作用している可能性が高いことが明らかとなった。これらのことから、Sema4Aが同種造血幹細胞移植後のTregの維持・増幅やGVHD制御に関わっている可能性が示された。 現在、Treg機能や移植後のサイトカイン産生T細胞などについて解析を行っている。来年度はTreg抑制機能やT細胞のシグナルについても更に検討を進め、このメカニズムの解明を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
急性GVHDにおいてSema4AがGVHDに及ぼす影響を明らかにすることができ、今後検討を進めていく上での系を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は確立した実験系を用いて、Treg機能、維持・増幅に関わる分子メカニズムの解析の他、GVHD制御のためSema4Aを標的にできるかについても検討する予定である。
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