2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄微小環境(ニッチ)による造血幹細胞プールの再生機構
Project/Area Number |
19K08837
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 立樹 大阪大学, 生命機能研究科, 招へい研究員 (10456791)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / ニッチ / 骨髄再構築 / CAR細胞 / 慢性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体を循環するほとんど全ての血液細胞・免疫細胞は骨髄の造血幹細胞(HSC)から産生され、そのHSCは骨髄に存在する特別な微小環境(ニッチ)によって維持されている。これまでの研究により、CXCL12を高発現する細網細胞(CAR細胞)がHSCニッチの中心的な細胞であることが明らかになった。本研究では、従来不明であったCAR細胞に対応するヒトの細胞(ヒトCAR細胞)を単一細胞レベルで同定した。さらに血液疾患におけるヒトCAR細胞の変化をフローサイトメトリーや組織学的解析を用いて評価する方法を確立し、慢性骨髄性白血病(CML)ではその重症度に比例してCAR細胞の遺伝子発現パターンが変化していることを明らかにした。 またCAR細胞の発現するCXCL12がHSCの機能や骨髄中における局在に与える影響を解析するため、CXCL12遺伝子を欠損誘導可能かつCXCL12遺伝子が残存したCXCL12発現細胞を赤色蛍光色素tdTomatoで可視化するマウス(flox-CXCL12-IRES-tdTomato)を作製した。このマウスとCAR細胞特異的Cre発現マウス(Ebf3-CreERT2マウス)を交配し、得られたマウスに適量のタモキシフェンを投与することによって様々な割合のCAR細胞でCXCL12を欠損させると共にCXCL12を欠損していないCAR細胞のみを可視化することが可能となった。解析の結果、殆どのCAR細胞でCXCL12を欠損させるとHSC数が減少したが、半分程度のCAR細胞でCXCL12が欠損した場合ではHSC数は変化せず、いずれの場合においてもHSCはCXCL12を欠損していないCAR細胞に有意に近接して存在していた。このことはHSCが骨髄内でCXCL12を発現するCAR細胞に依存し局在を変化させ得ることを示す結果であり、HSCの恒常性維持機構の一端が明らかになった。
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Research Products
(1 results)