2021 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法後の全身性免疫炎症病態へのFusobacteriumの役割の解明
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19K08839
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 信元 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (10511321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 圭史 川崎医療福祉大学, 川崎医療福祉大学, 教授 (10335804)
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Fusobacterium nucleatum |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はFusobacterium nucleatumが発熱性好中球減少症の発症に寄与することを見いだした(Int J Hematol. 2020 Dec;112(6):851-859.)ため、Fusobacterium nucleatumに着目し、化学療法や造血幹細胞移植時の全身性感染症やGVHDなどの炎症惹起、血管内皮障害、がん微小環境等に対する影響の実態を明らかにするとともに、Fusobacteriumを定量する簡便な測定系の開発を目指している。 現在、ヒトにおける臨床研究として、化学療法前後、造血幹細胞移植前後のタイミングで唾液採取と口腔内擦過物の採取を行い、口腔内細菌のみならず口腔内真菌の網羅的解析を行い、発熱性好中球減少症や口腔内の状態との関連を検討中である。唾液に関してはIgAや抗菌ペプチド濃度、抗Fusobacterium活性の測定を行い、解析中である。 また、Fusobacterium自体が発熱性好中球減少症時の菌血症の原因となっているかどうかに関して、患者の血液培養ボトルより遺伝子を抽出し、PCR法で検討するも検出しにくく、検出しにくい原因をさらに検討中である。 今後、Fusobacteriumの簡便な検査方法の確立のために、Fusobacteriumに対する代表的な表面抗原を候補に抗体を作成し、その特異性を検査中である。特異性の高い抗体を使用して、Fusobacteriumの迅速定量法の確立(イムノクロマト法)を目指している。さらに血清または唾液中の抗Fusobacterium nucleatum活性を持った抗体の検討のためにin cell ELISAシステムの基礎検討を行い確立しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍での他の業務の逼迫による遅れと、共同研究者の一人が今年度から他大学へ異動したことにより少し遅れ気味であるが、共同研究者が異動した地で再び系を立ち上げることが整ったこともあり今後は進めていくことができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.当初の予定であった、抗Fusobacterium nucleatumの抗体作成とイムノクロマト法の開発を目指す。現在、作成した抗Fusobacterium抗体の特異度を各Fusobacterium属の菌を使用して検討して、ターゲットを確立する。 2.現在得られたデータの解析。 臨床検体による口腔内細菌、口腔内真菌、唾液の成分、臨床情報の対比による解析により、発熱性好中球減少症の本態にアプローチしていく。 3.確立したELISAシステムを用いて既存の検体のアッセイを行っていく。 唾液の抗Fuso活性、および血清の抗Fuso活性の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響でラボの混乱が継続したこと、共同分担者の一人が異動になったこと、などからアッセイが次年度に実施することになり次年度使用金額が生じた。 令和4年度は、昨年予定だったアッセイ系の費用をあわせて使用する予定である。
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