2022 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学療法後の全身性免疫炎症病態へのFusobacteriumの役割の解明
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19K08839
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 信元 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (10511321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 圭史 川崎医療福祉大学, 医療技術学部 臨床栄養学科, 教授 (10335804)
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Fusobacterium nucleatum / secretory IgA / 発熱性好中球減少症 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの発症や化学療法における口腔内細菌叢の役割は十分には明らかになっていない。我々はFusobacterium nucleatum(Fuso)が発熱性好中球減少症(FN)の発症に寄与することを見いだした。本研究では、Fusoに着目し、化学療法や造血幹細胞移植時の全身性感染症やGVHDなどの炎症惹起、血管内皮障害、がん微小環境等に対する影響の実態を明らかにするとともに、Fusoを定量する簡便な測定系の開発を目指して研究を行った。 まず基礎的検討として、口腔内上皮細胞株TR146にmelphalanなどの抗癌剤を添加するとROSの産生が亢進するがFusoを加えるとさらに亢進した。血液培養ボトルからのFusoのPCRでの検出や、血清や唾液中の抗Fuso抗体をELISA法での検出を試みたが、感度や非特異反応などにより困難だった。またすでに知られたFuso表面抗原でのペプチドを作製し、それらを抗原としたポリクローナル抗体を6種類作成したが、特異性が低かった。 臨床的検討として血液疾患での唾液と舌苔を採取してFNとの関連を検討したところ、唾液中IgAが低い、舌苔中のFusoが多いことがFN発生との傾向がみられた。また、同時に舌苔のDNAによる口腔内真菌叢の解析を行ったところ、唾液中IgAと口腔内真菌叢のα多様性との相関傾向がみられ、口腔内環境とFNにおける関連が見いだされた。 Fusoは臨床的検出が困難なことや実験系の確立が困難に思われることから今後の臨床検査や治療応用を目指して抗Fusoモノクローナル特異抗体を現在作成中である。本研究により特異抗体が作製できればFusoの化学療法時のヒトへの影響の全貌解明と、より効果的な支持療法、効率的な化学療法の開発に繋がることが期待される。
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