2021 Fiscal Year Annual Research Report
BCR-ABL細胞内局在制御によるCML根治治療の開発
Project/Area Number |
19K08847
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小山 大輔 自治医科大学, 医学部, 講師 (50741071)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / オートファジー / AMPK / mTOR / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病 (chronic myeloid leukemia; CML) は、BCR-ABL融合タンパク質のチロシンキナーゼ活性に高度に依存する骨髄増殖性腫瘍である。チロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor; TKI) の開発により、劇的に治療成績は改善しているが、TKI抵抗性獲得症例や初発時急性期症例では未だ予後不良であること、かつTKIの長期内服による医療経済的な問題など解決すべき課題が存在する。それらを克服するためにはCMLの分子病態の解明が不可欠である。 申請者は、CML急性転化症例由来の細胞株では、主にBCR-ABLが核内に局在していることに着目した。BCR-ABLはオートファジー依存性分解を受けることが知られており、オートファジーは主として細胞質に局在しているタンパク質しか分解できないはずである。そこでAMPKを活性化したり、オートファジーを強制的に誘導することでBCR-ABLを細胞質に移動させることが可能であった。CML急性期の細胞はBCR-ABLが、核内に局在することが治療抵抗性の一因になっていることが示唆された。 CML細胞は恒常的なチロシンキナーゼ活性に高度に依存しており、AMPKを中心とする細胞内ATP濃度の維持するための制御機構が、働いている。このようなCML細胞に対し、BCR-ABLの細胞内局在を強制的に変化させ、オートファジー依存性分解を引き起こすことで、効率的に細胞死を誘導することが可能であった。このメカニズムを踏まえ、TKIと何らかの薬剤を併用することで急性期CMLの根治も可能になるかもしれない。
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