2019 Fiscal Year Research-status Report
血栓形成における12-リポキシゲナーゼの局在・活性制御メカニズムの解明
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19K08853
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
勝見 章 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 部長 (80378025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 睦紀 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90304170)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Rho ファミリー / フォルミン / 脂質メディエーター |
Outline of Annual Research Achievements |
血小板細胞膜から遊離したアラキドン酸は、プロスタグランジン(PG)、ロイコトルエン(LT)等の生理活性物質に代謝される。PG、TXA2を生成するシクロオキシゲナーゼ(COX)はよく研究されているが、血小板にはアラキドン酸を基質とするもう1つの酵素、リポキシゲナーゼ(LOX)が存在する。LOXには酸素添加部位の違いによって5-LOX、12-LOX、15-LOXが知られている。血小板には12-LOXのみが発現し12-HETE等の脂質メディエーターを産生する。12-HETEは血小板外に分泌され、血小板活性化、顆粒分泌、血餅退縮を惹起する。阻害剤を用いた研究で12-LOXはGPVIやFCγRIIAを介した血小板活性化に重要な役割を果たしている。また12-LOXのノックアウトマウスで血栓形成が阻害されることから12-LOX経路は向血栓性に働くことが示唆されている。我々は活性化RhoAに特異的にLOXが結合することを明らかにし、それを仲介する分子群の機能を解析中である。我々はRhoA, Rac1, Cdc42 をbait にした網羅的アフィニティクロマトグラフィーとそれに続くマススペクトロメトリー(LC/MS-MS)の実験系を確立した。この実験システムを用いて我々は活性型Rho family 蛋白の一部にLOX が結合することを明らかにした。さらに複数の活性化Rho GTPases と複数のLOX family の結合の証明を目的としている。次にGTP 結合型Rho familyとLOX をCOS7 細胞で共発現し、両者の結合を証明することができている。さらにRho familyのうち、LOXとの活性化依存性の結合が明らかになった分子につきそれぞれの阻害剤をCOS-7細胞に添加し、脂質メディエーター(ロイコトリエン、リポキシン、HETEなど)の産生が抑制されるかどうかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は既にRhoA, Rac1, Cdc42 をbait にした網羅的アフィニティクロマトグラフィーとそれに続くマススペクトロメトリー(LC/MS-MS)の実験系を確立した。この実験システムを用いて我々は活性型Rho family 蛋白の一部にLOX が結合することを明らかにした。さらに複数の活性化Rho GTPases と複数のLOX family の結合の証明を目的としている。次にGTP 結合型Rho familyとLOX をCOS7 細胞で共発現し、両者の結合を証明することができている。さらにRho familyのうち、LOXとの活性化依存性の結合が明らかになった分子につきそれぞれの阻害剤をCOS-7細胞に添加し、脂質メディエーター(ロイコトリエン、リポキシン、HETEなど)の産生が抑制されるかどうかを検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
I 巨核球細胞株における活性型RhoAと12-LOXの共局在の証明 巨核球細胞株MEG-O1、CMK-86にGFP-RhoAとRFP-12-LOXを安定発現し、両者の細胞内での共局在を共焦点顕微鏡を用いて観察する。必要に応じて免疫染色を併用する。既に発現ベクター構築と、遺伝子導入は確立している。RhoA阻害剤C3 toxin添加による12-LOXの局在変化と12-HETEの分泌を定量する。 II 血小板シグナル伝達におけるRhoA-12-LOX経路の役割 巨核球細胞株MEG-O1、CMK-86にL63RhoA(活性型)とN19RhoA(不活性型)を発現し、培養上清中の12-HETE産生がL63RhoAにより亢進することを確認する。さらに活性型RhoAによる12-HETE産生亢進がRhoA阻害薬であるC3 toxinにより抑制されるが、Rho-kinase阻害剤Y-27632では抑制されないことを証明する。 III 血小板における12-LOX阻害のアクチン重合への影響 洗浄血小板を用いたcytoplasmicアクチン重合アッセイとpyreneラベル精製アクチンアッセイの双方でアクチン重合の定量を行い、12-LOX阻害剤ML355によりアクチン重合が阻害されるかどうか検討する。これにより12-LOXが血小板のアクチン重合を制御していることを証明する。また、ML355の添加による血小板のアクチン形態変化をRhodamine Phalloidin染色で観察する。
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Causes of Carryover |
当該年度において、アフィニティクロマトグラフィー、シグナル伝達実験はすべて所属機関および国立長寿医療研究センター研究所に設置されている機器および専門オペレーターによりデータを得ることができ、経費の削減ができたため。令和2年度は国立長寿医療研究センターにおいてシグナル伝達、マウス実験のために予算執行をしていく。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Higher FVIII:C Measured by Chromogenic Substrate Assay Than by One-Stage Assay Is Associated With Silent Hemophilic Arthropathy2020
Author(s)
Mika Ogawa, Nobuaki Suzuki, Nobunori Takahashi, Shogo Tamura, Atsuo Suzuki, Sachiko Suzuki, Yuua Hattori, Misaki Kakihara, Takeshi Kanematsu, Toshihisa Kojima, Akira Katsumi, Fumihiko Hayakawa, Tetsuhito Kojima, Naoki Ishiguro , Hitoshi Kiyoi , Tadashi Matsushita
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Journal Title
Thromb Res
Volume: 188
Pages: 103-105
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Apparent Synonymous Mutation F9 c.87A>G Causes Secretion Failure by In-Frame Mutation With Aberrant Splicing2019
Author(s)
Odaira K, Tamura S, Suzuki N, Kakihara M, Hattori Y, Tokoro M, Suzuki S, Takagi A, Katsumi A, Hayakawa F, Okamoto S, Suzuki A, Kanematsu T, Matsushita T, Kojima T.
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Journal Title
Thromb Res
Volume: 179
Pages: 95-103
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Molecular Basis of SERPINC1 Mutations in Japanese Patients With Antithrombin Deficiency2019
Author(s)
Tamura S, Hashimoto E, Suzuki N, Kakihara M, Odaira K, Hattori Y, Tokoro M, Suzuki S, Takagi A, Katsumi A, Hayakawa F, Suzuki A, Okamoto S, Kanematsu T, Matsushita T, Kojima T.
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Journal Title
Thromb Res
Volume: 178
Pages: 159-170
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] MYH9異常症が赤血球造血にもたらす影響の検討2019
Author(s)
兼松 毅, 鈴木 伸明, 鈴木 敦夫, 田村 彰吾, 岡本 修一, 石川 裕一, 勝見 章, 清井 仁, 齋藤 英彦, 國島 伸治, 小嶋 哲人, 松下 正
Organizer
第81回日本血液学会学術集会