2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性血小板減少症の網羅的遺伝子診断系の確立および病態解析を含む新規疾患群の提唱
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19K08855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹原 洋二 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60372314)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝性血小板減少症 / 網羅的遺伝子解析 / MECOM / CDC42 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画にて示した4項目のついて、これまでの2年間で達成できた研究実績の概要については以下の通りである。 1.遺伝性血小板減少症の既知遺伝子診断系の確立と臨床への還元:昨年度に既知遺伝子約50遺伝子を網羅する遺伝子診断パネルを作成した。今後も新規遺伝子を追加するとともに、解析結果を臨床に速やかに還元して、本邦における遺伝性血小板減少症の遺伝子変異と臨床所見の全体像を明らかにする予定である。 2.既知遺伝子が正常である臨床検体を用いた新規原因遺伝子の探索:上記既知遺伝子パネル解析にて変異を認めなかった症例について、トリオ解析が揃っている8家系に加えて、今年度は患者のみ検体として保存していた約50検体について、Exome解析を行った。新規遺伝子と考えられる遺伝子を見い出しており、現在、臨床検体や細胞株・モデル動物を用いた機能解析を進めている。 3.新規原因遺伝子MECOMの異常による疾患概念の確立とマウスモデルの病態解析:共同研究者とともに、変異を導入したマウスモデルを作成し、その血液・骨髄所見を解析している。解析が終了次第、論文投稿予定である。また、本邦6症例の同種骨髄移植施行例における臨床所見をまとめ、近日中に投稿予定である。 4.新規原因遺伝子CDC42の異常による疾患概念の確立と細胞レベルの病態解析:共同研究者とともに、同じ変異をもつ本邦2症例の臨床所見、検査所見、免疫学的所見をまとめた。また、疾患特的iPS細胞を樹立して、その重篤な自己炎症の惹起に至る免疫学的異常について解析を進めたており、解析が終了次第、論文投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、網羅的遺伝子解析パネル作成、MECOMおよびCDC42遺伝子の機能解析や臨床所見のまとめはほぼ順調に進んでおり、論文作成を行っているところである。Exome解析により新規遺伝子候補が見い出されており、機能解析まで進めば世界に先駆けた独創的な研究成果になると考えている。このため、概ね順調に進展していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的遺伝子解析パネル作成は完成しており、今後解析症例を蓄積する。 新規遺伝子候補については、臨床検体および細胞株やモデル動物を作成して機能解析を進める予定である。 MECOMおよびCDC42遺伝子の機能解析や臨床所見のまとめはほぼ完成に近くまで進んでおり、終了後は速やかに論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費のうち、試薬購入費用などが予定額よりも少なくしても研究を遂行することが可能であったため。また、学会参加に必要な旅費が、COVID-19流行に伴い、不要となったため。 来年度は研究遂行に必要な試薬購入費や論文作成・投稿費用に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)