2020 Fiscal Year Research-status Report
骨髄内細胞外小胞によるAML/MDSの病態進展機構の解析
Project/Area Number |
19K08871
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90336389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井山 諭 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50398319)
池田 博 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60570132)
後藤 亜香利 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60722387)
菊地 尚平 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80515792) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 骨髄間葉系幹細胞 / マイクロRNA / 急性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究により、急性骨髄性白血病(AML)由来の細胞外小胞中に高濃度に内包されるマイクロRNAとして、miR-7977、miR-8073およびmiR-4286が同定された。特にmiR-7977の機能について解析する目的で、初代間葉系幹細胞にmiR-7977のmimicをリポフェクション法で導入した2日後に、発現遺伝子のプロファイルをマイクロアレイを用いて解析した結果、STEAP3, GDF15およびSLC7A11の遺伝子発現が増加する一方で、STK4, ZNF439, STEAP1, SOD2, ZNF383, PCBP1, MT1X, VAMP3の発現が低下低下することが明らかとなった。今年度は実際にどのパスウエイに影響しているかを推定する目的で、Gene set enrichment解析(GSEA)を行った。その結果、HIPPOシグナル経路の上流およびZINC代謝経路に係わるパスウエイに異常をきたす結果が得られた。DEGの結果からは鉄代謝経路の異常が検出されることも期待されたが、GSEAでは検出されなかった。GSEAに登録されている鉄代謝経路の遺伝子群を確認したところ、細胞内鉄動態に係わる遺伝子群ではなく、細胞外・全身の鉄代謝を司る遺伝子群が登録されているため、本法では指摘されないことが推定された。そのため、Cytoscape3.8.0を用いて、鉄代謝遺伝子群のマップを作成し、マイクロアレイの結果をオーバーレイした結果、胎児型フェリチンやPCBP3といった細胞内鉄代謝遺伝子群の発現異常が指摘された。今年度は、ウエスタンブロッティングやレポーターアッセイを用い、シグナル伝達の異常を確認する必要がある他、miR-7977の実際のターゲット遺伝子についても確認実験を行う必要がある。また、老化間葉系幹細胞と幼若間葉系幹細胞を用いたエクソソームの違いについても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のごとく、骨髄内細胞外小胞内のmiR-7977による間質細胞機能の異常については、バイオインフォマティクスを利用し、GSEA解析やCytoscapeを用いたネットワーク解析などにより解析対象を絞り込み詳細に研究を推進ことが可能であった。 しかしながら、老化間葉系幹細胞(MSC)および幼若iPS細胞由来間葉系幹細胞(iPS-MSC)の比較研究はウイスルベクターの準備、MSCの準備およびプロトコールの確認が終了したものの、社会、研究現場を取り巻く環境が大きく変化したため、継続的な細胞培養を行うことの可能性にリスクを感じたため、次年度にスタートさせることとしたため研究の推進がやや遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者ではないが、今年度から研究室に大学院生が1名参加することとなった。このため、マンパワーの面で昨年度よりも研究が推進することが期待される。大学内のみならず当該教室の研究機器の一部が更新されたため、再現性の高い質の高い研究が実施可能となることが期待される。
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Causes of Carryover |
昨年度の社会的、医療および研究体制の変化により、一部の研究計画が遅延したため、次年度使用額が生じた。今年度は研究に係わる人員が増員される予定のため、昨年度遅延した研究が推進され今年度は予定通り使用される計画となっている。
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