2021 Fiscal Year Research-status Report
第三世代シークエンサーを用いた血栓症の遺伝的背景の解明と診断・治療への活用
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19K08875
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 敏行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 客員研究員 (90183970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根木 玲子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 室長 (90600594)
辻 明宏 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (70598367)
関根 章博 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, その他(移行) (30425631) [Withdrawn]
小亀 浩市 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (40270730)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 静脈血栓塞栓症 / 血栓性素因 / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
静脈血栓塞栓症の中でも特発性血栓症は、家系内多発、40歳以下の若年性発症、繰り返す再発、まれな発症部位の血栓という特徴を示し、先天性血栓性素因を有する場合が比較的高く、治療に抵抗性を示す場合がある。国立循環器病研究センター、心臓血管内科部門、肺循環科では静脈血栓塞栓症患者の登録研究を進めている。この登録研究より特発性血栓症患者を選び出し、静脈血栓塞栓症の候補遺伝子の解析を行い、その遺伝的背景を明らかにし、患者の臨床転帰や治療指針を検討する。 静脈血栓塞栓症のパネルの候補遺伝子として10遺伝子を選定し、次世代シークエンサー(next generation sequencer, NGS)と第三世代のシークエンサー(Third generation sequencer, TGS)で条件検討を進めた。10遺伝子は4種の凝固制御因子(アンチトロンビン、プロテインC、プロテインS、トロンボモジュリン)および6種の凝固因子である。TGSは遺伝子のエクソン領域に加え、プロモータ領域やイントロン領域も解析対象になるため、多くのバリアントが同定された。また、現在のところ、TGSにより複数の構造バリアントも同定された。 特発性血栓症を示す2家系3名に、凝固因子のプロトロンビン遺伝子にp.Arg596Glnが同定された。本バリアントを保有するトロンビンは、アンチトロンビンによる活性阻害を受けにくくなり、その結果トロンビン活性が残存して過凝固を示すことが知られている(機能獲得バリアント)。このプロトロンビンの機能獲得バリアントは極めて稀なバリアントであると考えられていたが、私たちの静脈血栓塞栓症のパネルでは3名に同定されたことを考えると、静脈血栓塞栓症患者にはかなりの頻度で観察されるのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子解析を外部機関に委託する際の当施設の倫理申請に時間がかかり、当初の計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
特発性血栓塞栓症患者のプロトロンビン遺伝子に機能獲得バリアントを同定した。特発性血栓塞栓症患者の登録研究で収集した遺伝子試料を用いて、この機能獲得バリアントの更なる同定を試みる。 静脈血栓塞栓症の遺伝子解析のパネル解析をNGSおよびTGSで進めたところ、どちらかだけで同定された遺伝子バリアントが見いだされた。プロテインS遺伝子には、塩基配列の相同性が極めて高い偽遺伝子が存在し、これがNGSやTGSのデータ解析を妨害している可能性が考えられた。NGSおよびTGSのデータを再度解析し直す。また再度シークエンスを行うことも念頭において研究を進める。 患者登録研究で構築している特発性血栓症患者の臨床症状(家系内多発、40歳以下の若年性発症、繰り返す再発、まれな発症部位の血栓)を考え合わせ、遺伝子バリアントの疾患発症における強度などを検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析を外部機関に委託する際の当施設の倫理申請に時間がかかり、当初の計画が遅延した。倫理承認を受けたので、解析を開始する。
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Remarks |
Faculty Opinionsに16報の研究論文の紹介を掲載した
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[Journal Article] P2Y12 Reaction Units and Clinical Outcomes in Acute Large Artery Atherosclerotic Stroke: A Multicenter Prospective Study2022
Author(s)
Fukuma K, Yamagami H, Ihara M, Tanaka T, Miyata T, Miyata S, Kokame K, Nishimura K, Nakaoku Y, Yamamoto H, Hayakawa M, Kamiyama K, Enomoto Y, Itabashi R, Furui E, Manabe Y, Ezura M, Todo K, Hashikawa K, Uchiyama S, Toyoda K, Nagatsuka K, and the PRAISE Study Investigators
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Journal Title
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
Volume: 29
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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