2021 Fiscal Year Research-status Report
Pathogenic Role of Atypical Chemoattractant Receptors in Immune Complex-induced Arthritis
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19K08895
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
宮部 斉重 日本医科大学, 先端医学研究所, 講師 (70632313)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 補体受容体 / 補体 / ケモカイン / ケモカイン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
III型アレルギーは、免疫複合体が組織へ沈着し炎症を誘導する病態で、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、様々な自己免疫疾患で見られる。近年、我々は関節において補体成分C5aを起点とする新しいIII型アレルギー機序を発見した。さらに、AtypicalとClassical Chemoattractant Receptorの相互作用が関節炎の発症に重要である事を我々は見出したが、関節組織特異的なのか、それとも他臓器の炎症でもそれらは重要なのか全く不明であった。 我々は健常な野生型マウスへ補体C5aを血中投与すると髄液中C5a濃度が上昇することを見出した。しかし、健常マウスでは血液脳関門はじめとした血管構造を保たれており、脳内に補体C5aを血中から髄液へ輸送するメカニズムが存在することが示唆される。そこで我々は関節炎と中枢神経障害を合併するMRL-lprマウスを用いて、関節組織と中枢神経における病変の発症時期や部位を経時的に解析した。MRL-lprマウスでは脳室周辺から免疫細胞の遊走が開始することを見出し、同部位が免疫細胞の侵入ゲートになっていることが示唆された。また、時間が経つにつれて、海馬や他の脳室にも病変が波及していくことを見出した。浸潤している細胞subsetはCD4陽性T細胞が主体であり、他Ly6G陽性好中球の浸潤も認められた。これらの浸潤細胞は病理学的変化と相関していた。今後、これらの細胞遊走に関与するリガンドや受容体の発現、リガンドの輸送機序を解明していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRL-lprマウスの飼育が困難であり、時間がかかっている。また、12ー40週齢のマウスを使用するため、飼育に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々はMRL-lprマウスを用いて12週齢から第3脳室の脈絡層にCD4陽性T細胞主体の遊走が開始することを見出した。週齢がが経つにつれて側脳室の脈絡層、大脳鎌周辺の硬膜、海馬にCD4T細胞の異常集積を認めた。第3脳室の脈絡層は血液脳脊髄液関門を構成し、外部からの侵入を遮断する一方で、ホルモンなどの髄液への輸送をおこなっている特殊な組織である。このことから我々は関節以外に第3脳室の脈絡層に補体やケモカインを輸送するメカニズムが存在すると考え、今後それら受容体の発現や輸送機序の解明をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の影響を受け、マウスの飼育に時間がかかり実験に多大な支障をきたした。 また、令和4年度4月から聖マリアンナ医科大学へ異動が決定し、年度末に異動準備が重なり、実験に遅れを生じた。 令和4年度4月から聖マリアンナ医科大学へ異動したため、本助成金の残額で日本医科大学で採取し解析が施行できなかったMRL-lprマウスの脈絡組織のDNAアレイ解析やプロテオーム解析に使用する予定である。また、聖マリアンナ医科大学へMRL-lprマウスの移送にも使用する予定である。
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Research Products
(7 results)