2021 Fiscal Year Annual Research Report
REV-ERBアゴニストによるⅠ型アレルギー反応抑制機序の解析
Project/Area Number |
19K08904
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石丸 かよ子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10710353)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マスト細胞 / 脱顆粒 / REV-REB / SR9009 / 概日時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、生物の24時間周期性の生理活動を司る概日時計を構成する時計遺伝子ClockがI型アレルギー反応(IgE受容体刺激によるマスト細胞の脱顆粒)を強く制御していることを明らかにした。研究の過程で、偶然、概日時計リズムの安定性に寄与している時計遺伝子であるREV-ERBのアゴニスト(SR9009)がI型アレルギー反応を顕著に抑制することを見出した。REV-ERBとマスト細胞のIgE受容体シグナルとの関係はこれまで全く報告されていない。そこで本研究はⅠ型アレルギー反応におけるREV-ERB分子の役割、特にREV-ERBアゴニストによるⅠ型アレルギー反応の抑制機序を明らかにすることを目的とした。SR9009はIgE刺激によるマウス骨髄由来マスト細胞(bone marrow-derived mast cells:BMMCs)の脱顆粒反応を顕著に抑制すること、IgE/FcεRシグナル伝達経路のGab2,NF-κB(p65)のリン酸化を抑制することが明らかとなった。また、in vivoにおけるI型アレルギー反応モデルであるマウスPCA反応を抑制することも明らかになった。興味深いことに、時計遺伝子clock変異BMMCsでもSR9009はIgEによる脱顆粒反応を抑制したことから、SR9009の抑制機序に概日時計は関与しないことが示唆された。これらの結果を査読付きの学術論文に投稿し受理された(Ishimaru et al. IJMS 2019;20:6320)。SR9009をはじめとするREV-ERBのアゴニストは肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームや癌に対する治療薬として期待されている(Nat Rev Drug Discov 2014;13:197, Nature 2018;553:351)。したがって、本研究の知見はアレルギー疾患以外にも有用性をもつ夢のようなアレルギー創薬に繋がる可能性がある。
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