2020 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチ特異的ノンコーディングRNA相互作用に関する研究
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19K08906
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河野 誠司 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (20351512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20514970)
中町 祐司 神戸大学, 医学部附属病院国際がん医療・研究センター, 特命技術員 (80379429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 長鎖ノンコー ディングRNA / 関節リウマチ / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、ヒト関節リウマチ(RA)滑膜細胞で特異的に発現が減少するmiRNAとしてmiR-124aを発見し、AIAモデルで関節局所にラット・ホモログmiR-124前駆体を投与した結果、関節炎の抑制効果を認めるという成果を得た。miR-124aは、軟骨細胞、破骨細胞、造骨細胞の増殖分化に与えることが明らかになっており、RA病態に重要な分子として、我々はmiR-124aの治療応用について研究を進めている。近年がん研究の領域を中心にmiR-124aと相互作用するlncRNAの報告が見られるようになり、またlncRNAが臓器特異的に発現するという特性が指摘されている。本研究はヒトRAにおいて滑膜細胞や炎症細胞におけるmiRNAと長鎖ノンコー ディングRNA(lncRNA)の相互作用に着目し、RAの病態におけるlncRNAの役割を明らかにすることを目的とする。RA病態におけるmiRNAの役割については研究されつつあるが、自己免疫疾患、なかんずくRAにおけるlncRNA発現の意義は不明であり、miRNAとlncRNAの相互作用については未知のりょうきであるとから、本研究はこれに着目している。miRNAとlncRNAの相互作用に着目した本研究は、RA病態研究や治療応用に新しい展望を開くものである。 本研究では、RAの病態におけるmiR-124aとlncRNAの相互作用をRA患者由来滑膜線維芽細胞(RAFLS)の機能抑制、ラット・AIAへの効果という視点から解析し、lncRNA-miRNA相関を標的とした新しいRA診断・治療法の可能性を探る。2019年度は、miR-124aに結合するncRNA(lncRNA-X)を同定する作業に着手し、miR-124aに結合するlncRNA-Xの候補を選出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、コロナ禍による緊急事態宣言の発令により、研究室への入室が制限された期間が長かったため、研究の進捗に支障をきたした。2020年度は、miR-124aに結合するlncRNA(lncRNA-X)を同定する作業に引き続き取り組んだ。具体的には、lncRNAでは、GAS5,HOTAIR,HOXA11-AS,MALAT1,NEAT1,OGFRP1,TP73-AS1,TUG1,XISTがmiR-124aの発現と相関があると報告されているため、これらをスクリーニングの候補分子とした。また、StarBase(http://starbase.sysu.edu.cn/)などのRNAデータベースからmiR-124aと統合する候補lncRNAをピックアップし、RA患者滑膜細胞由来よりトータルRNAを抽出しcDNAを作成して、プルダウン・アッセイによりビオチン標識したmiR-124aと統合するlncRNAを定量的PCR(qRT-PCR)にて検出し、スクリーニングされたlncRNAについて、患者由来滑膜細胞臨床検体にて検証する作業に取り組んでいる。しかし、lncRNA-Xのルシフェラーゼ活性抑制が野生株に特異的にあるかどうかの確認、lncRNA-Xの強制発現下/siRNAによるlncRNA-Xのノックダウン下でのmiR-124aの標的分子に対するタンパク合成阻害作用・細胞生理作用を検討するに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きmiT124aに結合するlncRNA(lncRNA-x)を同定し、まずlncRNA-XのmiR-124a発現に対する阻害作用の検討する。lncRNA-Xをプラスミドベクターに組み込み、 lipofectamin RNAiMAXにてRA滑膜細胞由来細胞株E11にトランスフェクションし、miR-124aの発現量をqRT-PCRにて定量する。また、lncRNA-Xの発現を特異的siRNAにて低下させ、miR-124aの発現量の変化をqRT-PCRにて検出する。次に miR-124aのlncRNA-Xに対する 阻害作用を検討する。miR-124aのlncRNA-Xに対する阻害作用の有無は、デュアルルシフェラーゼ・アッセイにてlncRNA-Xのプロモーター領域TR(野生型と変異型)を組み込んだ pGL4 Luciferase Reporter VectorとmiR-124a前駆体をE11細胞に共発現させ、lncRNA-Xのレシフェラーゼ活性抑制が野生株に特異的にあるかどうかで確認する。さらにlncRNA-Xの強制発現下/siRNAによるlncRNA-Xのノックダウン下で、miR-124aの標的分子に対するタンパク合成阻害作用・細胞生理作用を検討する。E11細胞にlncRNA-Xをトランスフェクションし、miR-124aの発現をqRT-PCRにて定量しつつ、標的分子のタンパク発現量(増加)をウェスタンブロットやELISAにて検出する。逆に、lncRNA-Xの発現を特異的 siRNAによりノックダウンし、miR-124aの発現変化をqRT-PCRにて定量しつつ既知のmiT124a標的分子MCP1やCDK2のタンパク発現量(低下)をウェスタンブロットやELISAにて検出する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、コロナ禍による緊急事態宣言の発令により、研究室への入室が制限された期間が長かったため、研究の進捗に支障をきたし、当初の計画より進捗が遅れ、細胞導入実験試薬などの物品の購入が少なくなった。2021年度は、遅れを取り戻す実験計画を組み、繰り越しした配分額を含め使用する予定である。
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