2021 Fiscal Year Research-status Report
経皮感作による食道・皮膚間の免疫応答に着目した好酸球性食道炎の発症機序の解明
Project/Area Number |
19K08907
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大嶋 直樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (10403461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 俊治 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (80263531)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 好酸球性食道炎 / アレルギー / 経皮感作 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、アレルギー疾患の新たな感作経路として経皮感作が注目されている。好酸球性食道炎は食道に多数の好酸球が浸潤し、慢性炎症が起こる消化管のアレルギー疾患であるが、外来抗原の感作により発症に至る機序については未だ不明な点が多い。本研究では、皮膚における抗原感作は好酸球性食道炎発症の契機となるのか、また皮膚のバリア機構の破綻は好酸球性食道炎の病態形成の一因になり得るのかを明らかにすることを目的とし、マウスモデルを用いて好酸球性食道炎発症に至る免疫学的背景について研究を行っている。特に粘膜上皮の防御機構に重要な役割を担っているepidermal differentiation complex proteinの一つであるFilaggrin遺伝子に着目し、皮膚と食道粘膜における免疫応答の相互作用の解析を進めている。 令和3年度はOVAを皮膚に塗布することによって経皮感作を成立させ、実際に食道内に好酸球性炎症が誘導されるかどうかを検討した。その結果、食道内への好酸球性炎症の誘導を確認できたため、引き続き解析を行った。具体的には食道の組織学的評価(好酸球、炎症細胞浸潤)、フローサイトメトリー(FCM)による好酸球 (siglec-F/CD11b陽性細胞)の分布、real-Time PCR法によるTh2系サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IL-15、IL-33)、好酸球ケモカインのmRNAの発現量を確認した。また、食道粘膜のPCR arrayを行いアレル ギー関連遺伝子の増幅の有無を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度はOVAを皮膚に塗布することによって経皮感作を成立させ、実際に食道内に好酸球性炎症が誘導されるかどうかを検討した。その結果、食道内への好酸球性炎症の誘導を確認できたため、引き続き解析を行った。具体的には食道の組織学的評価(好酸球、炎症細胞浸潤)、フローサイトメトリー(FCM)による好酸球 (siglec-F/CD11b陽性細胞)の分布、real-Time PCR法によるTh2系サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13、IL-15、IL-33)、好酸球ケモカインのmRNAの発現量を確認した。また、食道粘膜のPCR arrayを行いアレル ギー関連遺伝子の増幅の有無を解析した。 しかしながら、IL-33 KOマウスを用いた経皮感作モデルでの解析に関してはKOマウスの自家繁殖に支障が生じているため行えていない。 以上の理由により進捗状況としては遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究の推進方策に関しては、令和3年度の遅れを取り戻すべくより一層の研究遂行に邁進する予定である。具体的にはIL-33 KOマウスにおける経皮感作の好酸球性食道炎モデルの組織学的評価、Th2系サイトカイン、好酸球ケモカインの発現量の確認を行っていく。さらにFila遺伝子に変異を持つFlaky tail(FT)マウスを購入し、このマウスは16週齢頃よりアトピー様皮膚炎を自然発症することが報告されているため、皮膚炎発症前から経時的に食道粘膜での好酸球、ILC2、免疫担当細胞の動向を確認し、さらにIL-33を含めたTh2系サイトカイン、好酸球ケモカイン、EDC proteinの発現量をmRNA、蛋白レベルで比較検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度については、配布予定の予定額237万6557円に対して支出額98万1926円であった。 この理由に関しては、①当研究室で既に所有している物品を共有した、分子生物学的試薬やフローサイトメトリーなどの物品費の購入が少なかった。②参加予定であった国内、国際学会にコロナ禍のため参加しなかった事などが挙げられる。平成4年度は未使用額である139万4631円の研究費で遂行していく。具体的にはフローサイトメトリーの抗体などの分子生物学的試薬の購入や、本研究の成果を発表する予定である国際学会の参加費用に充てる計画である。
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