2021 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎におけるPathogenic線維芽細胞の同定とその機能解析
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19K08912
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
布村 聡 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70424728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ペリオスチン / 病的線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)は,アレルギー性の炎症性皮膚疾患であり,強い痒みと慢性湿疹を特徴とする。ADにおいて炎症の場を形成する線維芽細胞は多様性を有していると考えられている。しかしながら,その実態は明らかにされていない。ペリオスチンは線維芽細胞から主に産生される細胞外マトリックスタンパク質であり,ペリオスチンがアトピー性皮膚炎の発症・増悪に関与することが報告されている。これまでに,ペリオスチンを高発現する病的線維芽細胞の集団と低発現の線維芽細胞集団が存在することをMC903を用いた実験的アトピー性皮膚炎モデルによって明らかにし,さらに皮膚線維芽細胞にIkk2欠損を導入することにより,アトピー性皮膚炎を自然発症するマウス(FADSマウス)を用いて,ペリオスチン高発現線維芽細胞集団の解析を実施したところ,1)一部の線維芽細胞集団でペリオスチンを高く発現していること,2)Ikk2欠損有無は高発現能の獲得には関与しないことを明らかにしてきた。最終年度はペリオスチンを発現する病的線維芽細胞の機能解析を実施した。この目的のためにペリオスチンを欠損するFADSマウスを作成し,解析を行ったところ皮膚炎および痒みが顕著に低減されることを明らかにした。本研究の成果により,病的線維芽細胞がペリオスチンを発現し,ペリオスチンやペリオスチンを発現する病的線維芽細胞がアトピー性皮膚炎とその掻痒の新たな治療標的となる可能性が示された。
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