2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of calcinosis in systemic sclerosis
Project/Area Number |
19K08921
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
白井 悠一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (70528801)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 強皮症 / 石灰沈着症 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強皮症(SSc)における異所性の石灰沈着症の機序解明を目的としている。その検証のため、[1]沈着している物質がハイドロキシアパタイトであるかの検証と[2]その産生細胞の由来の解明をサブテーマとしている。今年度は、石灰沈着症を伴う強皮症患者4例から、石灰沈着部分の切除検体を得た。まず、本研究の前提である[1]を明らかにするため、石灰沈着部分に直接アリザリン染色とOsteoimage染色を行ったところ、ハイドロキシアパタイトであることが確認された。しかし、通常の人体では石灰成分が生じえない箇所であるため、異所性に産生されていることになる。そこで、[2]を明らかにすべく、石灰沈着部分の病理組織標本を作成した。すると、HE染色でハイドロキシアパタイトの周囲に、単核球の浸潤を認めた。この細胞の起源を明らかにするため、間葉系あるいは血球系の複数のマーカーでの免疫染色により検討するが、今年度はまず免疫染色の条件検討を行い、次年度に向けた準備を整えた。ただし、本検討のみでは石灰沈着部分周囲に存在しているという傍証に留まる。そこで、細胞からの石灰成分の産生を証明する必要があると考えた。それについては、4例のうち1例では石灰沈着が付着している膝関節の人工関節置換術の機会があったことから、その際に皮膚、皮下脂肪、滑膜、腱、靭帯、半月板、骨、骨髄も採取し、初代培養系を樹立した。これらを用いて実際に石灰成分の産生が行われるかをアリザリン染色とOsteoimage染色で確認するとともに、増殖した付着細胞の性質を明らかにするため、遺伝子やタンパク発現の解析等で今後石灰化成分の産生細胞の起源を同定していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に必要なex vivo検体は採取が済んでおり、免疫染色に必要な条件検討も済ませてある。ただし、遺伝子発現などに使用する、対照となる健常人の腱、滑膜などの組織はまだ入手できておらず、来年度行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
石灰沈着成分の産生細胞の起源を明らかにするための、免疫染色を行う。また、膝関節周囲の組織ごとの初代培養系を樹立しており、RNA-seqによる遺伝子発現解析とウェスタンブロットによるタンパク発現解析を行う。
|
Causes of Carryover |
2019年度に発表参加予定していた国際学会が、コロナウイルス感染蔓延のため延期にな、そのために確保していた額を、2020年度に延期した際に使用する。
|